大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

2018年、今年もよろしくお願いいたします!

賀状テスト
子年はまだ先だというのに、出たがりですみません!
寝てるか、働いているか、どちらかの状態しかないおふたりですが、わたしの2018年も夏までいろんなことが目白押しです。

早いもので、来春は須賀敦子さんが他界して20年。それにあわせて『須賀敦子の旅路 ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、そして東京』(文春文庫)を刊行し、同時に2001年に須賀さんの足跡をイタリアに辿ったときの写真で、東京・京都・福岡で写真展&トークショーをいたします。今回の本の改稿と書下しの作業をとおして、ひさしぶりに須賀敦子の人生を振り返りましたが、彼女の生きることへのこだわりの深さに改めて感服いたしました……。さらっとしてちゃダメだな、ときには濃くならなくちゃ、と実感した次第です。

昨年は、『鉄砲百合の射程距離』と『間取りと妄想』の2冊を世に送り出すことができました。
『鉄砲百合の射程距離』は俳人・内田美紗さんの句に、森山大道さんの写真を合わせた大判の写真俳句集で、
わたしは編者の役回りでしたが、長年あたためてきたアイデアを実現できたのは嬉しく、内田さんと森山さんによる「姉弟トーク」をカタリココで開催したのも望外の歓びでした。
また自著の執筆では、自分のなかに埋もれていた「間取り好き」という鉱脈を掘り出し、場を与えることができたのが感慨深かったです。間もなく『間取りと妄想』第2弾にむかって離陸する予定です。

今年の「ことばのポトラック vol.15」は3月11日に開催します。ゲストは写真家の志賀理江子さん。震災を体験してからいままでの間に感じ考えたことを語っていただきます。
12年目にはいる「カタリココ」はただいま仕込み中で、春にはラインナップをご報告できるでしょう。
そしてもうひとつ今年前半で重大なのはドゥマゴ賞の選考委員という仕事。日本のどこかで人知れず「文学」している方を探し出したいと思っています。

という具合に、いろいろなことが頭のなかに渦巻き、つんのめりそうですが、怪我しないようにしっかり歩を進めていきましょう。みなさまにおかれましても、昨年し残したことにとりかかれたり、新しいことに挑めたりと、実りのある一年となりますように祈っています。(2018.1.4)

2017年に書評した本の一覧です。

全20冊。ジャンルはさまざまです。
                               (2017.12.22)
『ひかり埃のきみ』福田尚代(「朝日新聞」1.15)
『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』小林せかい著(「週刊新潮」1.26)
『ウインドアイ』ブライアン・エヴンソン著・柴田元幸訳(「朝日新聞」2.5)
『人生を変えてくれたペンギン』トム・ミッチェル著・矢沢聖子訳(『週刊新潮』2.23
『おばちゃんたちのいるところ』松田青子(『朝日新聞』2.26)
『日本の美しい色の鳥』上田恵介監修・大橋弘一解説(『週刊新潮』3.23)
『岩場の上から』黒川創(『朝日新聞』3.27)
『あの頃』武田百合子((『週刊新潮』4.20)
『かわうそ堀怪談見習い』柴崎友香(『すばる』6月号)
『冬の日誌』ポール・オースター著・柴田元幸訳(『週刊新潮』6.1)
『家をせおって歩いた』村上慧(「週刊新潮」6.29)
『森の探偵』宮崎学著・小原真史構成(「週刊新潮」7.27)
『息子が殺人犯になった』スー・クレボルド著・仁木めぐみ訳(「週刊新潮」9.7)
『幻の黒船カレーを追え』水野仁輔(「週刊新潮」10.5)
『写真家三木淳と「ライフ」の時代』須田慎太郎(「京都新聞」10.29他 共同通信配信)
『台湾人の歌舞伎町』稲葉佳子・青池憲司(「週刊新潮」11.2)
『宮城ヨシ子写真集 Frame Out』宮城ヨシ子(「週刊新潮」11.30)
『震美術論』椹木野衣(「日本経済新聞」12.10)
『原民喜童話集/別巻「毬』原民喜(「週刊新潮」12.28)
『光の犬』松家正之(『すばる』18.1月号)

12月の迷走写真館はこの写真です!

ウォーホルなんだか知った顔がふたりいます。ふたりとも、むかって左の方向に視線をやっているのが気になります。タテ位置に撮られていて、テーブルに載っている手前のものがいやに大きく写っているのも奇妙。
かすかにミステリアスな雰囲気がただよっているのに惹かれます……。(2017.12.12)
ときの忘れもの

2017年11月11日、心に染み入った、奈良美智さんとのカタリココ。

IMG_2393_convert_20171120205708.jpg奈良美智さんのインタビューや発言はたくさん活字になっているので、こういう場に出られることは多いかと思っていたら、なんとお客さんを前にトークするのははじめてとのこと。とても貴重な機会でした。カタリココは一年前とかかなり早くに出演依頼をしなければならず、そんな先のことを、といつも申し訳ないといつも思うのですが、奈良さんによれば、前々から言ってくれたから引き受けた、とのことなのです。どういうイベントでどういう人が出ているか、聞き手がどんな人でどんな本を書いているかなどを調べて準備したいからで、3週間前に言われたのではそれができないから嫌だそうなのです。物事を流せない、立ち止まって対したい人なのですね。
IMG_2407_convert_20171120205803.jpg 正直にうちあけると、私は奈良さんの作品と出会えた、と感じたのは実は最近のことです。写真は好きでしたが、絵画については印刷物でしか見ていなかったから、イラストのように感じていました。でも今回、豊田市美術館の展覧会を観て驚いたのです。一言でいうと凝視を求める絵。シンプルなモチーフのなかに込められた時間がじわじわと立ち上がってきて、深海に引き込まれたのです。
そもそも、奈良さんには写真家になろうとか、美術家になろうとかいう気持ちはなく、ただ描いていられる環境が欲しくてドイツに行き、長いことそこに留まっていました。そこではみんなと飲んだり遊んだりする時間をたくさん持ったけど、そういうことが作品に出る人と、出ない人がいる。出てしまうのが自分なのだとわかった、というお話には共感しました。自分を掘るとことが大事なのです。それがドイツの場所だったのでしょう。
奈良さんのに絵は背景が描かれません。その意味でちょっと日本画のようでもありますが、自分は人に見せるために描くのではないと悟ったとき、背景がどんどんと消えて、人物がひとりぽつんといるような絵になったとのこと。日本を離れて、自分と対面する孤独な時間のなかから掘り出されたスタイルだったのです。
奈良さんの絵は、熊谷守一の絵を思わせるところがあります。印刷物で見るとなんということにのに、ホンモノを見るとすごい緊張感。守一も自分の絵に到達するのに長い時間がかかっていますが、西洋絵画と日本画が合体したような、だれにもまねできないおもしろさがあるという意味で、奈良さんは熊谷守一の衣鉢を継いでいると言えるかもしれません。
IMG_2413_convert_20171120205739.jpg 最近は正面から描いているものが多いですが、そこにも彼なりの考えがあります。正面の構図にはそれほどバリエーションがなく、だれもが描きやすい。それを、だれでも使える道具を使って、自分にしかできないものにする、そういう修業をいまの自分はしているのではないか。きっとモチーフが変わらないのもそのためでしょう。
朗読では、郷土弘前の出身で、医者をしながら方言詩を描いた高木恭造の詩を三篇朗読してくれました。意味はほとんどわからなかったですけど、たちまち会場が北国の空気に包まれたのに驚きました。
奈良さんははじめて会うのに「懐かしい人」でした。東北訛りのせいか、なにか暖かいものに包まれたような気がしました。「若いときはいつ死んでもいいと思っていたけど、いまは生きたい、少数の顔の見える人たちのために何かをしたい」という彼の言葉が心のなかに残響しています。(2017.11.21)

心に染み入った、奈良美智さんとのカタリココ。

IMG_2393_convert_20171120205708.jpg奈良美智さんのインタビューや発言はたくさん活字になっているので、こういう場に出られることは多いかと思っていたら、なんとお客さんを前にトークするのははじめてとのこと。とても貴重な機会でした。カタリココは一年前とかかなり早くに出演依頼をしなければならず、そんな先のことを、といつも申し訳ないといつも思うのですが、奈良さんによれば、前々から言ってくれたから引き受けた、とのことなのです。どういうイベントでどういう人が出ているか、聞き手がどんな人でどんな本を書いているかなどを調べて準備したいからで、3週間前に言われたのではそれができないから嫌だそうなのです。物事を流せない、立ち止まって対したい人なのですね。
IMG_2407_convert_20171120205803.jpg 正直にうちあけると、私は奈良さんの作品と出会えた、と感じたのは実は最近のことです。写真は好きでしたが、絵画については印刷物でしか見ていなかったから、イラストのように感じていました。でも今回、豊田市美術館の展覧会を観て驚いたのです。一言でいうと凝視を求める絵。シンプルなモチーフのなかに込められた時間がじわじわと立ち上がってきて、深海に引き込まれたのです。
そもそも、奈良さんには写真家になろうとか、美術家になろうとかいう気持ちはなく、ただ描いていられる環境が欲しくてドイツに行き、長いことそこに留まっていました。そこではみんなと飲んだり遊んだりする時間をたくさん持ったけど、そういうことが作品に出る人と、出ない人がいる。出てしまうのが自分なのだとわかった、というお話には共感しました。自分を掘るとことが大事なのです。それがドイツの場所だったのでしょう。
奈良さんのに絵は背景が描かれません。その意味でちょっと日本画のようでもありますが、自分は人に見せるために描くのではないと悟ったとき、背景がどんどんと消えて、人物がひとりぽつんといるような絵になったとのこと。日本を離れて、自分と対面する孤独な時間のなかから掘り出されたスタイルだったのです。
奈良さんの絵は、熊谷守一の絵を思わせるところがあります。印刷物で見るとなんということにのに、ホンモノを見るとすごい緊張感。守一も自分の絵に到達するのに長い時間がかかっていますが、西洋絵画と日本画が合体したような、だれにもまねできないおもしろさがあるという意味で、奈良さんは熊谷守一の衣鉢を継いでいると言えるかもしれません。
IMG_2413_convert_20171120205739.jpg 最近は正面から描いているものが多いですが、そこにも彼なりの考えがあります。正面の構図にはそれほどバリエーションがなく、だれもが描きやすい。それを、だれでも使える道具を使って、自分にしかできないものにする、そういう修業をいまの自分はしているのではないか。きっとモチーフが変わらないのもそのためでしょう。
朗読では、郷土弘前の出身で、医者をしながら方言詩を描いた高木恭造の詩を三篇朗読してくれました。意味はほとんどわからなかったですけど、たちまち会場が北国の空気に包まれたのに驚きました。
奈良さんははじめて会うのに「懐かしい人」でした。東北訛りのせいか、なにか暖かいものに包まれたような気がしました。「若いときはいつ死んでもいいと思っていたけど、いまは生きたい、少数の顔の見える人たちのために何かをしたい」という彼の言葉が心のなかに残響しています。(2017.11.21)

石川竜一の写真展、そしてトークショー!

CF003911FR_セレクトRAW_Saint-Denis_convert_20171116181930デビューから最短距離で木村伊兵衛賞をとり、写真界をあっと言わせた石川竜一。
彼の二度にわたるフランスでのレジデンス制作の成果が発表されます。
沖縄出身の彼は、東京すらほんど来たことがなく、私がはじめて会ったときは、どこかおどおどした様子すら感じられました。
それから時をおかずして、アツコバルーのレジデンスプログラムによりフランスへ。そこで写された写真は、メディアが届けるフランスを大きく逸脱したイメージの数々で、そこに生きる人々の生の実感と都市の手触りを伝えます!
写真展は12月10日まで、渋谷のアツコバルーにて。11月17日夜には石川さんとわたしのトークショーがあります。→アツコバルー(2017.11.17)


11月の迷走写真館がアップされました!

seto_livingroom_convert_20171101161954.jpg
お姫さまふうで、メルヘンチックなインテリアです。ふたりの服装も、部屋に合わせたかのようにゴテゴテ感満載。
でも、よく見ると部屋の感じが安っぽいような。
カーテンもカーペットも高級とはいいがたく、部屋の入口にレールがあるのも気になります……。
いったいどういう空間なのでしょう。→ギャラリーときの忘れもの(2017.11.1)

10月28日に京都でトークイベント!

28日に京都の誠光社でトークイベントをいたします。京都ってヘンな間取りがありそうですよね。そういう間取りを、参加者のみなさんから持ち寄っていただき、どこがヘンでおもしろいか、もしそこからストーリーをつくるならどんなものになるか、なんてことを語りたいと思います。間取りを持参しなくても参加できますので、手ぶらでもどうぞ!東京からももっていく予定でいま探索中です。

日時:2017年10月28日(土)19時〜
場所:誠光社
料金:1500円+1ドリンクオーダー
定員:30名
予約はこちらへ→誠光社

2017年9月29日、長嶋有さんと間取りトーク

IMG_3185_convert_20171007152324.jpeg開場すると続々とお客さまがやってきて、7時半ぴったりにスタート。ふつうはよもやま話をしたりしながらゆるりとはじまるのですが、この日はご紹介が終わると即刻、長嶋さんのアタマが回転しだし、話の核心にズンズン入っていきました。初対面でしたが、そんなことはピクリとも感じる間のないまま、観客席を見渡して反応を確かめるのも忘れ、長嶋さんの顔をただひたすら見つめて話に夢中になり、ふと正面に掛かっている時計を見たら8時半!感覚としては20分くらいでしたが。
話題は『3の隣は5号室』と間取りのことに終始しました(正面本棚にはっておいた五号室の間取りが役立ちました!)。「『間取りと妄想』を読んでわかった、ぼくは間取りが好きなんじゃない、間取りを説明するのが好きなんだ!大竹さんのほうがずっと間取り好きだ」と長嶋さん。たしかに私は小説や映画でもっともワクワクするのは室内や建物の描写です。ストーリーはすぐに忘れてしまうし、登場人物の顔も覚えられないのに、一度見た空間は忘れない。でも、どうやったらこのことを小説を書くのに活かせるんでしょう。結局はなにをどう語るかなのですから、「説明するほうが好き」という長嶋さんの発言のほうがずっと小説家っぽくて、私は小説書きとしては亜流かもしれない、などと思いました。IMG_3204_convert_20171007152302.jpeg終わるといつもお店で打ち上げをしますが、そこでもまたトークがつづいているように話が展開し、どれもおもしろくて、お客さんがいないのがもったいないほど。気がつくと時計の針は12時をさしていて、あっ、電車がない!とあわててお開きにした次第。
長嶋さんが鋭い観察者なのは作品でわかってましたが、どうもその目玉は複眼になっていて、同時にいろいろなものを映し、記憶しているようです。つまり、シャイでのんびりした印象とちがって、内部はものすごく高速回転でハイテンション。物事とディテールの関係におもがけない結びつきを見出し、日常の色を変えてしまう、作家長嶋有の底力に目をみはりました!(2017.10.7)

長嶋有さんとの超高速トーク!

IMG_3185_convert_20171007152324.jpeg開場すると続々とお客さまがやってきて、7時半ぴったりにスタート。ふつうはよもやま話をしたりしながらゆるりとはじまるのですが、この日はご紹介が終わると即刻、長嶋さんのアタマが回転しだし、話の核心にズンズン入っていきました。初対面でしたが、そんなことはピクリとも感じる間のないまま、観客席をみやって反応を確かめるのも忘れ、長嶋さんの顔をただひたすら見つめて話に夢中になり、ふと正面に掛かっている時計を見たら8時半!感覚としては20分くらいでしたが。
『3の隣は5号室』と間取りのことに話題は終始しました(正面本棚にはっておいた五号室の間取りが役立ちました!)。「『間取りと妄想』を読んでわかった、ぼくは間取りが好きなんじゃない、間取りを説明するのが好きなんだ!大竹さんのほうがずっと間取り好きだ」と長嶋さん。たしかに私は小説や映画でもっともワクワクするのは室内や建物の描写です。ストーリーはすぐに忘れてしまうし、登場人物の顔も覚えられないのに、一度見た空間は忘れない。でも、このことは小説を書くのにどう活かせるんでしょう。結局はなにをどう語るかなのですから、「説明するほうが好き」という長嶋さんの発言のほうがずっと小説家っぽくて、私は小説書きとしては亜流かもしれない、などと思いました。IMG_3204_convert_20171007152302.jpeg終わるといつもお店で打ち上げをしますが、そこでもまたトークがつづいているように話が展開し、どれもおもしろくて、お客さんがいないのがもったいないほどでした。気がつくと時計の針は12時を差していて、あっ、電車がない!とあわててお開きにした次第。
長嶋さんが鋭い観察者なのは作品でわかってましたが、どうもその目玉は複眼になっていて、同時にいろいろなものを映し、記憶しているようです。つまり、シャイでのんびりした印象とちがって、内部はものすごく高速回転でハイテンション。物事とディテールの関係におもがけない結びつきを見出し、日常の色を変えてしまう、これこそが長嶋作品の魅力なのです!(2017.10.7)