大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

『須賀敦子の旅路』の解説を書いて下さった福岡伸一さんと須賀さんの話を!

福岡伸一さんとは、拙著『きみのいる生活』のトークショーでお会いしたのが最初です。なんとお客さんとして来てくださり、いちばん前のかぶりつきの席で、終始うれしそうに聞いてくださいました!
まだ『生物と無生物のあいだ』が出る前でお顔がわからず、サインのときに名前を入れてくださいと差し出された紙を見てはじめて、もしかして狂牛病の本を書かれた生物学者の方?と気がついたのです。

そこで、打ち上げにお誘いしてお話をしたところ、以前お手紙をいただいていたこともわかりました。その話は、今回の解説に書かれています。パドヴァでの学会で自分の発表がおわると、ひそかに抜け出してベネツィアにむかい、カルパッチョ作「コルティジャーネ」の絵を見にいき……と、この先の話は解説で読んでいただくとして、トークでは件のカルパッチョの絵なども画像でお見せしつつ、須賀敦子の文章の魅力について語り合えればと思います。文章のなかで「私」と書くときの「私」と、生身の「私」との距離感など、生物学者がとらえる「私」の姿が浮き彫りになるのではないかと期待しています。(2018.4.4)

日時:4月18日19時〜
会場:代官山・蔦屋書店
料金:1500円

『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』(文春文庫)が刊行、直販店では「スガさんへのレシピ」カード付き!

レシピカードと本_convert_20180327165653今年は須賀敦子さん没後20年。
その節目のとしに、この本を出せたことをよろこんでいます。須賀さんが亡くなって2年がすぎた2000年から2001年にかけて、須賀さんの足跡をたどり3冊の本に著して以来、須賀さんについて書いたり語ったりするのを控えていましたが、20年のあいだに静かに溜まっていったものがあったようです。
今回、その3冊に加筆し、「東京篇」を書下ろす作業をつうじて、そのことをひしひしと感じました。年月にはなにかを醸す力があるようです。自分ではとりたてて意識していなくても、心のなかで須賀さんと問答を繰り返し、考えがあたたまっていったのでしょう。書くことの醍醐味を味わえた体験でした。
須賀さんの作品は、私に力を与えてくれるところがあります。癒しやなぐさめよりももっと強い、希望を灯してくれるのです。(ですから、読んでくださった方々から「勇気づけられた」ということばをいただけたときは、なによりもうれしく思いました!)
書店活動をしたり、「どんぐりのたわごと」という小冊子をイタリアで発行して日本の友人に送ったりと、自分でできることを、野心的にならずに、慈しみをこめてやったのが20代から40代の須賀さんでした。そこに、これからの時代を生きるわたしたちへの、なによりも大きな励ましを感じるのです。
組織を大きくしたり、発展を目指したり、数で他者を圧倒するような目標を立ててる時代はもう終わりました。これからは、個人のつながりをベースにいかに濃く生きるかが試され、人生の味わいもそこにあらわれます。ですから、生きものとしてのこの身を枯らさないよう努めなくてはならないし、そのための知力が本には詰まっているのです。
ここ数年、個人で書店を開く人たちが全国に増えました。そういうお店に本書を直販していただきたいと思い、プレミアムとして「スガさんへのレシピ・カード」をつくりました。上の写真の中央にあるのがそのカードです。
須賀さんが入院しているときにロールキャベツを差し入れたところ、とても気に入ってくれて、今度レシピ、ちょうだい、とおっしゃいました。そのことばに、私は正直なところ驚いたのです。回復の可能性はわずかでしたし、もし退院できたとしてもロールキャベツなんてつくる気力なんてあるだろうかと。
でも、そのレシピでつくるシーンを想像することで彼女の生命はわき立ったのです。先のことはわからないけど、たったいまはその気持ちになっている、そう伝えてくれたのでした。結局、差し上げる機会がなく逝ってしまわれましたが、そのレシピを読者のみなさんとシェアして、須賀さんの生命力を身に浴びたいと思います。
レシピ・カードは直販店でのみ付きますが、以下がその書店です。
ポポタム(目白)、古書ほうろう(千駄木)、火星の庭(仙台)、栞日(松本)、ON READING(名古屋), 誠光社(京都)、蟲文庫(倉敷)、橙書店(熊本)、宮里小書店(那覇)
*ご賛同いただいた書店のみなさま、ありがとうございました。(2018.3.27)

 

第15回「ことばのポトラック」の報告をアップしました!

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012_convert_20180323163733.jpg3.11に行われた第15回の「ことばのポトラック」のゲストは、写真家の志賀理江子さんでした。瓦礫のなかから拾ったという、割れた地球儀をテーブルにぽんと置いて、2時間ノンストップでトークした志賀さん! 震災のことについて人前で話したのははじめてだそうで、緊張感が高まるなか、渋谷サラヴァ東京に地上とはまったく別な濃密な時空間が出現しました。これぞポトラックの神髄、と言える感動的なひとときを、100名の観客の方々とわかちあうことができました。→ことばのポトラック(2018.3.23.)

第15回「ことばのポトラック」は写真家の志賀理江子さんをお迎えいたします!

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東日本大震災の2週間後にはじまった「ことばのポトラック」は今年で7年目にはいります。これまでさまざまなジャンルのゲストに登壇いただきましたが、今回ははじめて東北沿岸で大震災を直接体験された方をお迎えいたします。

写真家の志賀理江子さんは1999年ロンドンに留学、卒業後、各地でレジデンス制作をしたのち、名取市北釜の海辺の松林に魅了され、帰国を決めてそこにアトリエを構えました。地域のカメラマンとして記録活動し、制作をはじめた途上で、東日本大震災に遭い、多くのものを失います。

わたしは震災の翌年、仙台メディアテークで彼女の写真展「螺旋海岸」を見て、翌日にはバスで仙台空港に行き、そこから北釜の集落があった場所に歩いて行きました。民家はむろんのこと、彼女が魅了されたという松林も根こそぎなくなり、以前がどのような風景だったのか想像すらできない状態で、改めて彼女の命が失われずにいまあることの奇跡を想ったのです。

7年の時間がたったいまだから話せることがある、と志賀さんは言います。震災と暮らし、写真と記憶、制作することと生きることなど、すべてが複雑に折り重なっている彼女の現在。かたや、震災の記憶が薄れつつあるのを感じつつ大きなものに巻き込まれていきているわたしたちの日常。それをわかりやすい言葉でくくるのではなく、互いの経験をすり合わせながら、自分のいる現在をたしかめたいと思います。会場のみなさんの声も聞きたいと志賀さんは言います。対話をとおして言葉が生まれる瞬間にぜひ立ちあってください。

以下で予告編が見られます。元パチンコ店だった巨大な建物のなかにキャスター付きの小部屋が設えられており、そのなかでお話を伺いました。部屋の外は屋外と同じ寒さでした!

https://youtu.be/z7DAl4aH83g

<大震災から今まで、言葉になること、ならないこと>
ゲスト 志賀理江子(写真家)
司会進行 堀江敏幸&大竹昭子

日時:2018.3.11(日) 13時半開場、14時開演
会場:サラヴァ東京
参加費:2000円(お茶付き)

◎予約受付中 電話 03-6427-8886(受付時間:お店の休業日を除く 16:00 ~19:00 )
WEB http://l-amusee.com/saravah/schedule/log/20180311.php

終了後、出演者が推薦する書籍を出版社から提供いただいき、割引価格で販売する「本のポトラック」をおこないます。それらの収益と、入場収入の一部をあわせたものを、今回は「みやぎ民話の会」の活動に寄付いたします。(2018.2.13)

2月の迷走写真館はこの写真です!

4e11f68b-s.jpg草原で足湯とはめずらしいです。
横にはスニーカーが脱がれていて、毛むくじゃらの足がお湯につけられています。
足しか写っていないのに、視線が足から離れて遠くに伸びるような感じがします。
これは気持ちよさそう、という共感があるからかもしれません
ギャラリーときの忘れもの(2018.2.7)

2月3日に宮里綾羽さんとB&Bでトークします!

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沖縄によく行っている人でも、栄町市場を知らない人は多いかもしれません。
ここはかつてひめゆり学徒隊の母校である第一高女と高等師範があったところで、戦後、小さな商店が軒を重ね、迷路のような市場ができました。
『本日の栄町市場と、旅する古書店』(ボーダーインク)は、その市場でとても小さな古書店をやっている宮里綾羽さんの初のエッセイ集です。

最初の話は「栄町から須賀敦子のイタリアへ」。
85歳のおばあさんが市場で買い物したついでに、ふらっと店に入ってきて、本を選んでくれといいます。
著者が勧めたのは須賀敦子の『ヴェネツィアの宿』。一週間後におばあさんは、読んだ!とやってきて、また須賀さんの本を買っていき、そして……と、その先は読んでのお楽しみとして、市場にゆきかう人々のユニークさ、おもしろさや、そこで宮里さんがいろんなことを学んでいく過程が語られて行きます。こういう市場のような場所こそが、本当の学校ですよね!

トークショーでは、市場の写真を上映したり、音を流したりして、栄町市場の雰囲気を味わっていただきます。
今年は須賀敦子没後20年で、私はいま3月に出す須賀さんついての本のゲラ読みの真っ最中です。
宮里さんと、須賀さんのことなども話してみたいです。

トークショー 宮里綾羽×大竹昭子「市場と古書店は相性がいい!」
日時:2月3日15時〜 
場所:下北沢B&B http://bookandbeer.com/2018/02/03/
料金:1500円+ワンドリンクオーダー
                                               (2018.1.19)

2018年、今年もよろしくお願いいたします!

賀状テスト
子年はまだ先だというのに、出たがりですみません!
寝てるか、働いているか、どちらかの状態しかないおふたりですが、わたしの2018年も夏までいろんなことが目白押しです。

早いもので、来春は須賀敦子さんが他界して20年。それにあわせて『須賀敦子の旅路 ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、そして東京』(文春文庫)を刊行し、同時に2001年に須賀さんの足跡をイタリアに辿ったときの写真で、東京・京都・福岡で写真展&トークショーをいたします。今回の本の改稿と書下しの作業をとおして、ひさしぶりに須賀敦子の人生を振り返りましたが、彼女の生きることへのこだわりの深さに改めて感服いたしました……。さらっとしてちゃダメだな、ときには濃くならなくちゃ、と実感した次第です。

昨年は、『鉄砲百合の射程距離』と『間取りと妄想』の2冊を世に送り出すことができました。
『鉄砲百合の射程距離』は俳人・内田美紗さんの句に、森山大道さんの写真を合わせた大判の写真俳句集で、
わたしは編者の役回りでしたが、長年あたためてきたアイデアを実現できたのは嬉しく、内田さんと森山さんによる「姉弟トーク」をカタリココで開催したのも望外の歓びでした。
また自著の執筆では、自分のなかに埋もれていた「間取り好き」という鉱脈を掘り出し、場を与えることができたのが感慨深かったです。間もなく『間取りと妄想』第2弾にむかって離陸する予定です。

今年の「ことばのポトラック vol.15」は3月11日に開催します。ゲストは写真家の志賀理江子さん。震災を体験してからいままでの間に感じ考えたことを語っていただきます。
12年目にはいる「カタリココ」はただいま仕込み中で、春にはラインナップをご報告できるでしょう。
そしてもうひとつ今年前半で重大なのはドゥマゴ賞の選考委員という仕事。日本のどこかで人知れず「文学」している方を探し出したいと思っています。

という具合に、いろいろなことが頭のなかに渦巻き、つんのめりそうですが、怪我しないようにしっかり歩を進めていきましょう。みなさまにおかれましても、昨年し残したことにとりかかれたり、新しいことに挑めたりと、実りのある一年となりますように祈っています。(2018.1.4)

2017年に書評した本の一覧です。

全20冊。ジャンルはさまざまです。
                               (2017.12.22)
『ひかり埃のきみ』福田尚代(「朝日新聞」1.15)
『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』小林せかい著(「週刊新潮」1.26)
『ウインドアイ』ブライアン・エヴンソン著・柴田元幸訳(「朝日新聞」2.5)
『人生を変えてくれたペンギン』トム・ミッチェル著・矢沢聖子訳(『週刊新潮』2.23
『おばちゃんたちのいるところ』松田青子(『朝日新聞』2.26)
『日本の美しい色の鳥』上田恵介監修・大橋弘一解説(『週刊新潮』3.23)
『岩場の上から』黒川創(『朝日新聞』3.27)
『あの頃』武田百合子((『週刊新潮』4.20)
『かわうそ堀怪談見習い』柴崎友香(『すばる』6月号)
『冬の日誌』ポール・オースター著・柴田元幸訳(『週刊新潮』6.1)
『家をせおって歩いた』村上慧(「週刊新潮」6.29)
『森の探偵』宮崎学著・小原真史構成(「週刊新潮」7.27)
『息子が殺人犯になった』スー・クレボルド著・仁木めぐみ訳(「週刊新潮」9.7)
『幻の黒船カレーを追え』水野仁輔(「週刊新潮」10.5)
『写真家三木淳と「ライフ」の時代』須田慎太郎(「京都新聞」10.29他 共同通信配信)
『台湾人の歌舞伎町』稲葉佳子・青池憲司(「週刊新潮」11.2)
『宮城ヨシ子写真集 Frame Out』宮城ヨシ子(「週刊新潮」11.30)
『震美術論』椹木野衣(「日本経済新聞」12.10)
『原民喜童話集/別巻「毬』原民喜(「週刊新潮」12.28)
『光の犬』松家正之(『すばる』18.1月号)