大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

短編集『間取りと妄想』が書店に並びはじめました!

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間取り図をつくり、そこから13の短篇を妄想する、とまさに『間取りと妄想』というタイトルのどおりの短編集です。
 ちいさいときから間取りを見たり、描いたり、街を歩きながら人の家のなかを想像したり、知り合いの住まいを見せてもらったりするのが大好きで、だから子供のときの夢は「建築家!」でしたが、算数ができないとダメだとわかってあえなく断念しました。その無念な思いを晴らしたいという気持ちがどこかにあったのか、間取りの物語はいつか書いてみたいと思っていたテーマのひとつでした。

「マドリスト」なんて言葉もあるくらい、世間に間取り好きは多く、しかも彼らの楽しみは間取りからいろんなことを妄想することであるのは、「間取り」と「妄想」と入れてインターネットで検索すると驚くほどたくさんヒットすることからもわかります。

もしかしてこれは日本的な傾向かもしれない、と最近ふと思い当たりました。
日本の狭い住環境のもとでは、思いもしない奇想天外な間取りが生まれ、またそのなかでの暮らしぶりも外観からは想像がつかないことが多いです。
同じことは、わたしたちの行動にもいえ、内と外という概念に規定されて、人の外側にあらわれる表情や態度などが、心のなかで感じ思っていることとちぐはぐになるということがよく起きます。つまり、間取りは人間の内面、人体の内側、意識世界、見えない領域などのアレゴリーでもあるわけで、そんなことがマドリストが多いことと関係があるのかもしれません。

間取りが示唆するそうした要素を、あたまのなかでころがしながらつむいだ13の物語。
付録に間取り図リストをつけたので、読みながら参照すると間取りをイメージしやすいですし、またこれを手がかりに妄想力を全開にしてそれぞれの物語に浸ってみるのもいいでしょう。
装幀は名久井直子さん、イラストはたけなみゆうこさん。青焼きのような表紙が内容とぴったりマッチし、うっとり見入ってしまうようなすばらしい仕上がりです!(2017.5.31)

5月26日に荻窪Titleでトークをします!

俳句と写真は似ている、と言われるけれど、また「俳句写真集」なるものもたくさん出ているけれど、なんかピリッとしないんです。夕暮れの句に夕暮れの写真とか、桜の句に桜の写真とか! 

5月26日に荻窪Titleにて、「写真とことばの編集術」をおこないます。どうやって『鉄砲百合の射程距離』をつくったか、編集段階で落としたものもお見せしたりしたり、他の写真に句をあてはめたりして、両者にふさわしい距離を見つけ出します。

さらには、ほかの写真家(例えばアラーキー)と美紗さんの句を合わせてみるとか!
大道さんの写真に、芭蕉の句を合わせるとか!
なんてこともしてみたいと思います。

写真とことばの関係は、アタマで考えるよりも、具体的な例を前に考えたほうがずっとおもしろいし、経験値も上がる、といは自著のなかに写真を入れたり(『図鑑少年』)、一枚の写真をことばにしてみたり(『この写真がすごい』)、写真とことばの関係について試行錯誤をつづけてきたわたしの実感です。

写真集のタイトルに悩んでいるひと、俳句に写真をつけたいと思っているひと、エッセイと写真をいっしょにした本をつくりたいひと、写真集にキャプションとはちがう文章を入れたいと思っているひと。どうぞご参加ください!→Title

内田美紗さんと森山大道さんをゲストに、ことばと写真の関係を探りました。

内田美紗さんにお会いしたきっかけをお話し、「森山大道さんのお姉様です」とご紹介すると、会場にどよめきが起きました! この事実はほとんど知られていませんが、大道さんの写真と美紗さんの句をあわせて『鉄砲百合の射程距離』(月曜社)をつくったポイントはその事実を知らせることではないので、本のなかでは隠したものの、こうしておふたりが並んだからには公表しないわけにはいきません!
katarikoko_-29_convert_20170429163940.jpgkatarikoko_-19_convert_20170429164154.jpgまず本の感想を伺ったところ、森山さんのセリフがふるっていました。「姉のほうがヤクザだなあ。ボクは写真の世界ではちょっとはヤクザかもしれないけど、姉のほうが上手。見知らぬ人がここにいるという感じがする」。
そもそも、その人のふだん見えない部分が表れ出るのが表現行為のおもしろさです。その度合いが高いほどすぐれた作品です。一方、知らないのに知っているような気になってしまうのが兄弟関係。本書に接した森山さんの驚きは両方の相乗効果だったのでしょう。
冬苺
おふたりに共通するものに官能性があります。俳句と写真のセレクト作業をしながらそれを強く感じました。色っぽさ、人間のあやうさ、いやらしさに目を留めるところ、ぷるぷると震えるような瞬間を見逃さないところが似ているのです。ですから、本書ではその部分を強調しました。美紗さん曰く、「セクシーであることは大事です、男でも女でもそう。フランスの作家が、異性から興味をもたれなかったらその人は終わる、と言ってますけど、そう思うんです」。
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私のなかにつねにあるのは、「表現とは何か」という問いかけで、話はおのずとその方向に進んでいきました。
「表現っていうのは基本的にあざといものだと思うんです」(美紗)
「そうだね、隠しても隠して見えてしまう」(大道)
つまり、表現者になったからにはあざとさから逃げられない、自分のあざとさを自覚しつつ、それに流されずにどう緊張感を維持するかが勝負のしどころなのですね。

改めて、表現とはその人が世界をどう認識しているかを表明する行為なのだと感じました。人生のあれやこれやの出来事や、それにまつわる感想や情感を伝えるものではない、それではお話の域を出ず作品には昇華しません。日々を生きながら実感していることを人間の事象として普遍化させる作業なのです。MisaDaido_cover_obi_W640-min_convert_20170430115854.png「内田美紗」という特異な才能を、結社の周辺で事が進んでいく俳句界に留めておくのはもったいない、トークをしながらつくづくそう思いました。彼女の作品がジャンルの境界を超えて多くの読者に届くよう、その活動の場が広がるよう微力ながら努めていくつもりです。

5月7日まで森岡書店銀座店にて、美紗さん、大道さん、わたしのサインがはいった『鉄砲百合の射程距離』を販売しています。この本に登場する森山さんの写真展も同時開催。大道さんの写真もお手頃な価格で買い求められますので、ぜひお立ち寄りください。一般書店での販売は連休明けからになります。撮影:谷本恵(2017.4.30)

4月の迷走写真館はこの写真です!

f3c11e0c-s.jpgセピア色のこの写真を見て、魅了されない人はいないでしょう。少女のまわりにあるひとつつひとつの物がおもしろく、セッティングされた状況に置かれた彼女の何かを問うような表情も気になり、引き込まれます。

いまでは、こういう撮り方が試みられることはなくなりましたが、写真からは幸運にもカメラを手にした者のはりきりぶりや初々しい興奮が伝わってくるように感じます。ギャラリーときの忘れもの

3月5日に開催した「ことばのポトラック」のご報告です!

170305_1.jpgご報告がおくれてすみません。3月5日に美術家の鴻池朋子さんとお迎えしておこなった第13回「ことばのポトラック」のレポートを、写真とともにポトラックのウェブにアップいたしました。寄付金は「3.11こども文庫」にお贈りしました。そのご報告もあわせてお読みいただけます。
「ことばのポトラック」は今後もつづいていきます。来年のゲストの方も決まりましたので、追々お伝えいたします!→ことばのポトラック(2017.4.8)

<カタリココ2017>のラインナップです。

ゲスト:内田美紗(俳人)+森山大道(写真家)

日時:4月27日(木)19時開場/19時30分開演
   4月18日(火)13時より電話予約/定員35名

会場:森岡書店銀座店
   東京都中央区銀座1‐28‐15 鈴木ビル1階
   03-3535-5020

「ミック・ジャガーの小さなおしり竜の玉」「秋の暮通天閣に跨がれて」「セーターにけもののにほひやがて雨」など、内田美紗さんの俳句は映像的で、ポップで、ダイナミックで、かつ気配が濃厚です。内田さんとは森山大道さんの取材でお会いしたのが始まりですが、4月に森山さんの写真と内田さんの句で句写真集『鉄砲百合の射程距離』(月曜社)を私の編纂により出版いたします。トークではその中の句をご紹介しつつ、破天荒ぶりの根っこを探ります。(大竹)

同時開催:『鉄砲百合の射程距離』刊行記念・森山大道写真展 4月25日(火)~5月7日(日)

内田美紗(うちだ・みさ)
1936年兵庫県西宮市生まれ。大阪在住。1983年頃、友人より借りた坪内稔典著『土曜の夜の短い文学』に触発され、俳句嫌いを返上して句作をはじめる。1985年に坪内稔典氏主宰の「船団の会」に入会、1994年から2002年まで「船団」の編集スタッフを務める。1987年「門」(鈴木鷹夫主宰)に入会。2000年、句集『誕生日』により門賞受賞。句集に『浦島草』『誕生日』『魚眼石』『内田美紗句集 現代俳句文庫58』。最新刊は森山大道との共著『鉄砲百合の射程距離』(月曜社)。

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ゲスト:名久井直子(ブックデザイナー)

日時:6月22日(木)19時開場/19時30分開演
   5月23日(火)13時より電話またはメール予約(当日清算)/定員35名

会場:ブックギャラリーポポタム
   東京都豊島区西池袋2‐15‐17
   03-5952-0114 / popotame@kiwi.ne.jp
   http://popotame.net/

あ、いい本だなあと奥付をみると名久井直子さんのお名前がある。そんなことが多くなりました。印象的だったのが絵本『まばたき』(穂村弘:作 酒井駒子:絵 岩崎書店)、長編ファンタジー児童文学『岸辺のヤービ』(梨木香歩:著 小沢さかえ:絵 福音館書店)。どちらも強い世界観の物語が、広く長く読まれるためにぴったりの姿になっていました。大竹さんの新刊『間取りと妄想』(亜紀書房)のブックデザインのこと、そして名久井さん自身が作者である月刊絵本「100」のお話も聞けるでしょうか。(大林)

名久井直子(なくい・なおこ)
1976年、岩手県盛岡市生まれ。ブックデザイナー。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。広告代理店勤務を経て2005年に独立。文芸作品を中心に、絵本・コミックスなど幅広く手がける。著書に写真絵本『100』(「ちいさなかがくのとも」井上佐由紀・写真 福音館書店)、工場見学の連載をまとめた『紙ものづくりの現場から』(グラフィック社)。

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ゲスト:長嶋有(小説家)

日時:9月29日(金)19時開場/19時30分開演
   8月29日(火)13時より予約受付/定員40名

会場:古書ほうろう
   東京都文京区千駄木3‐25‐5
   03-3824-3388 / horo@yanesen.net
   http://horo.bz/


とある木賃アパートの「変な間取り」の一室と、そこでの半世紀十三世帯の暮らしを描いた、長嶋有さんの『三の隣は五号室』。こんな切り口があったとは! という驚きとともに浮かび上がってくるのは、過去に自分が住んだ部屋の様々な細部と、もはや忘れていたような情景の数々。読後もじわじわと余韻が続き、大切な一冊となりました。『間取りと妄想』(亜紀書房)を上梓する大竹さんとの対談、とても楽しみです。(宮地)

長嶋有(ながしま・ゆう)
1972年生まれ。小説家。『サイドカーに犬』で文學界新人賞、『猛スピードで母は』で芥川賞、『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞。近作に『フキンシンちゃん』、句集『春のお辞儀』がある。最新作『三の隣は五号室』で昨年の谷崎潤一郎賞を受賞。狩撫麻礼ファン。

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ゲスト:奈良美智(画家)

日時:11月11日(土)15時半開場/16時開演
   10月11日(水)12時より予約受付/定員50名

会場:ボヘミアンズ・ギャラリー
   東京都千代田区神田神保町1‐25 神保町会館3F
   03-5577-6946 / natsume@natsume-books.com
   http://www.natsume-books.com/


大人なのか子どもなのか、性別すらもあいまいで、光が明滅する宇宙のような瞳でもって不思議な表情を浮かべている肖像。一見おだやかにみえるそのひとは怒りや悲しみを内在させている。それは「もはや自画像ではなく『自分にちょっと似ている』自立したもの」と表現する奈良さん。大竹さんとの間でどんな話が展開するのでしょうか。(神谷)

奈良美智(なら・よしとも)
画家・彫刻家。1959年青森県生まれ。1987年愛知県立芸術大学院終了後、渡独。国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに学ぶ。2000年帰国。世界的に評価されている作家であり、国内外で開催される展覧会のほか、書籍の表紙絵やCDジャケットなどを通じて、幅広い層に人気を持つ。不機嫌そうな表情の女の子の絵で知られる。栃木在住。


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「 芋のツルをたどるように 」 大竹昭子

どのようにしてゲストを決めるのですかとよく訊かれます。
出演していただきたい方はたくさんいらっしゃいますが、ご縁ができる機会を待つというのがカタリココのスタイルです。
今年のゲストの方々もそうでした。
内田美紗さんは森山大道さんを通して知り合いましたし、名久井直子さんは6月にでる私の短編集『間取りと妄想』の装丁をお願いしたご縁です。長嶋有さんは、昨年出された『三の隣は五号室』がマドリストの私にぴったりで来年は長嶋さんに! と思いましたし、奈良美智さんには一昨年のゲスト石川直樹さんがつないでくださいました。
こんなふうに縁をたどって巡り会った方とは、初対面でもはじめてという感じがしないし、話も弾むのです!
今年も4月から11月まで、ジャンルの異なる4つのカタリココをお楽しみください。


大竹昭子(おおたけ・あきこ)
文筆家。1980年代初頭にニューヨークに滞在、文章と写真をはじめる。小説、エッセイ、批評など、ジャンルを横断して執筆。小説に『図鑑少年』『随時見学可』『鼠京トーキョー』、写真関係の著書に『彼らが写真を手にした切実さを』『ニューヨーク1980』『出来事と写真』(共著)など。編著に『鉄砲百合の射程距離』(俳句・内田美紗 写真・森山大道)。2017年6月に短編集『間取りと妄想』を刊行予定。2007年にはじめた「カタリココ」は年4回おこなっている。また東日本大震災の直後に「ことばのポトラック」をスタート、毎年春に開催している。
http://katarikoko.blog40.fc2.com
http://kotobanopotoluck.blogspot.jp

2017年<カタリココ>のラインナップ発表です!

katarikoko2017coverW320_convert_20170319124219.png毎年、この季節になると、今年のカタリココは決まりました?と訊いてくださる方がいます。はい、間もなく発表しますので、Webをご覧ください、とお答えします。チラシの文面を書いたり、デザインをお願いするために1月には決まっているのですが、ぐっと堪えるのです。発表は春の到来とともに!ですから。 

10周年の昨年は赤色のチラシでしたが、11年目に入る今年はご覧のとおりクールで爽やかな色調。前回の三つ折りが好評だったので、今年もそういたしました。各回の言葉はそれぞれのお店が担当し、裏面には、どうやってゲストを決めていくかを私が書いた「芋のツルをたどるように」が載せました。デザインは五十嵐哲夫さん。毎回、細部に工夫を凝らした品のあるチラシをつくってくれます。

チラシは、開催会場の森岡書店、ポポタム、古書ほうろう、ボヘミアンズ・ギルドほか、下北沢B&B、渋谷サラヴァ東京などでもピックアップできます。
4月から11月まで、ジャンルのちがう四人四色の面々が登壇する11年目のカタリココを、どうぞよろしく!
*チラシの内容をご覧いただくには上記の「これからのカタリココ」をクリックください(2017.3.19)

3月の迷走写真館はこの写真です!

8ddcd4cd-s.jpg最初にこの写真を見て浮かんできたのは、五体投地のシーンです。
実際に見たことはないですが、チベット仏教の人々が五体を地面に投げ打って神に祈る姿は写真などで目にしており、そのイメージと重なりました。
でも手間側に岩を積んで囲いが出来ているのを見ているうちに、別の想像も浮かんできました。
写真についてなんの情報もなく眺めるとき、知っている事柄を参照して考えたり、記憶にあるほかのイメージとつなぎあわせて想像を馳せたりするものです。
まったく見当ちがいのことを考えていることもありますが、こと、この写真についてはまんざら遠くもなかったようです。文章を読んだあと、別枠の解説をご覧ください。→ときの忘れもの

2月の迷走写真館はこの写真です!

88aa26af-s.jpg一見してわかるのは、現代の写真ではないということ。
ふんどしを付ける子はいないし、ましてや、渓流の中をこんなふうに覗きこむことはしないでしょう。
全身にみなぎる意欲が小気味良く、見ているだけでこちらの体にもエネルギーが注入されてくるようです。→ときの忘れもの(2017.2.16)

今年の「ことばのポトラック」は3月5日に開催です!

チラシ・スクリーンショット
今年のゲストは美術家の鴻池朋子さんです。チラシに書いた通り、昨年彼女の著書『どうぶつのことば 根源的暴力をこえて』に出会い、次回のポトラックは鴻池さんに来ていただきたい!と切望しました。先日打ち合わせをしましたが、さまざまな話題が飛び出し、もうトークがはじまってしまったような勢い。
当日は彼女の現在を軸に、カンザス、フィンランド、タスマニアなど、海外での活動についても話していただきます。美術に関心のある人はもちろんのこと、美術を遠いものと感じていた人にとっても心と体に響く場になるでしょう! 
次回の予告編の映像(わたしが熱く語っています!)をこちらでご覧いただけます。予約方法ものってます。→ことばのポトラック(2017.2.1)