大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

2019年のラインナップは4月下旬に公開いたします!

カタリココは今年で13年目に入ります。ようやく詳細が決まり、五十嵐哲夫さんにチラシのデザインをお願いしたところです。5月のゴールデンウィーク前には配布する予定ですし、webでも同時に詳細をお伝えいたします。どの回もすばらしいゲスト揃いですので、どうぞご期待ください!(2019.4.2)

4月の迷走写真館はこの写真です!

7df9bb21-s.jpg今月の写真はこちらです。
どこの国のどういう場所だかわからない不可解な雰囲気に引込まれます。顔が見えるのは犬だけ。正面を向いてなにか問いたげです。
ギャラリーときの忘れもののブログにはすごい数の連載が載っているのをご存知でしょうか。ほかでは読めない貴重なものもたくさんありますが、今月からデザインが変わってとても読みやすくなりました!ぜひお好きな連載を探してみてください。
ギャラリーときの忘れもの(2019.4.2)

3月9日に開催された第16回「ことばのポトラック」のご報告を書きました!

1_convert_20190319172642.jpg1年にいくつもおこなうトークイベントの中で、もっとも緊張するのは東日本大震災をきっかけにはじまった「ことばのポトラック」です。年が明けるとその準備でそわそわしはじめます。お客さんが集まるだろうか、来てくださるにふさわしい内容になるだろうかと自問し、日に日に気が張っていきます。
今年は開催場所がはじめて使用するアップリンク渋谷だったで心配もひとしおでしたが、満席となり一安心。
当日は夜7時の開場前からお客さまが集まりはじめました。ゲストは福島からお越しくださった写真家/美術教師の赤城修司さん。いつもとはちょっとちがう内容のトークとなり、会場のみなさんも気を入れて聞いてくださり白熱しました。
15の出版社からご献本をいただいた「本のポトラック」はぶじに完売。寄付金は「ふくしま30年プロジェクト」にお贈りいたしました。
それやこれやのご報告をことばのポトラックに載せましたので、ご覧ください。
これを書き上げると、春がやってくるという実感にようやく浸ることができます。ご参加くださったみなさま、ご協力いただいた方々に心よりお礼を申し上げます(2019.3.22)

3月の迷走写真館はこの写真です!

bdd07ddf-s.jpg一見、別のふたつの写真をつなぎあわせたように見えますが、おなじ一枚です。ベランダと室内が同時にとらえられています。被写体のふたりにも静と動の対照的が現れ出ていますが、ふたりをつつんでいる至福感が、動から静へ、またその逆へとエネルギーが循環するさまを想像させます。→ギャラリーときの忘れもの(2019.3.13)

「ことばのポトラックvol.16 福島から8年目の報告」を3月9日に開催します!

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今年の「ことばのポトラック」は福島市在住の写真家・赤城修司さんをお迎えいたします。
赤城さんは大震災の翌日から市内の様子を撮りはじめ、いまもそれを続けています。
2015年に出版された 『Fukushima Traces 2011-2013』(オシリス)は道路の亀裂の写真ではじまり、自宅の庭の除染作業が終了した写真で終わっていますが、ポトラックではその後の街の風景や除染作業を写真で見せながら、ご自身の意識や周囲の人々との関係がどのように変化していったかを語っていただきます。
 昨年秋、私は福島に赤城さんをお訪ねし、彼の撮影スポットを車で案内していただきました。震災後初、いえ、福島の訪問自体がはじめてのことで、メディアで伝え聞くのとは違う角度からさまざまな問いかけを受けとりました。
 赤城さんはご著書のなかで「ただしい伝達なんて存在しない」と書いています。お会いしたときも、震災後もっとも衝撃的だったのは、あるひとつの出来事について人が感じ考えることがどんなにちがうかだったと語っていらしたのが印象に残っています。
「ことばのポトラック」は答えを求めて論じる場ではなく、切実な問いを持ち寄り分かち合う場であり、だからこそ8年たったいま赤城さんにお越しいただいてトークをする意味もあると感じています。
出来事から遅れてやってくる言葉には、一見何事もなかったかのように東京で過ごしているわたしたちの日常と響き合うものが必ずやあるでしょう。(2019.2.13)
*予告編→トレーラー

3月9日(土)18:30開場 / 19:00開演(22:00終了予定)
ゲスト 赤城修司(写真家)
司会進行 大竹昭子 堀江敏幸
参加費 2000円
チケット購入 アップリンク渋谷
「ことばのポトラック」公式サイト

*これまで開催していたサラヴァ東京が2月末で閉店になり、今回はアップリンク渋谷に場を移しておこないます。
*トーク前に、昨年志賀理江子さんをお迎えしておこなったポトラックのダイジェスト映像を上映いたします。
*会場併設のギャラリーで赤城修司写真展「Fukushima Traces 2011-2019」を3/6(水)より3/11(月)まで開催します。




「迷走写真館」1月と2月分をお知らせします!

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17f68994-s.jpgうっかりしているうちに1月が終わり、1月分の連載をお伝えしわすれていたのに気がつきました。1月号で取り上げたのは上の写真です。なかなかインパクトがあり、収容所かと思った……という声もありましたが、みなさまどんな感想をもたれるでしょう。まずは写真をじっくりご鑑賞いただき、ギャラリーときの忘れもののサイトで文章をお読みください。1枚の写真を読むのに正解はなく、想念を自由に遊ばせてくれるほどすぐれた写真といえます。
2月号で取り上げたのはその下の写真です。うってかわって山と野良とそこを通る道が写っています。人影がひとり、よくみると小さくもうひとりいて、遠くの山には雲間から差した陽が当たって劇的な印象で、見ているうちにふたつの道が環のようにつながってきました……。→ギャラリーときの忘れもの

2019年 迎春

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新しい年を迎えました。
今年もよろしくお願いいたします。

昨年は須賀敦子没後20年の年にあたり、いろいろな場でトークしましたが、なかでも印象的だったのは、駒込「Books青いカバ」さんの企画によりギャラリーときの忘れものでおこなった、「一日だけの須賀敦子展」です。
彼女の著作を集め、わたしがイタリア取材で撮った写真を展示。
たった一日なんてもったいないと思われるかもしれませんが、一日だからこそ生まれるライブ感があり、書店とギャラリーのお客さんが交じう楽しさもありました。
今年も「一日だけの○○」をおこなう予定で企画中です。○○に何がはいるかご期待ください!

さて、今年最初のトークショーは来たる1月29日(火)に小池昌代さんと荻窪「Title」でおこないます。
彼女の新刊『影を歩く』の冒頭に、影は一つの自画像だ、鏡に写った像よりもずっと自分に近しく感じる、という言葉が出てきます。鏡は客観的ですけど、影の変幻自在。なるほど、自己の姿に近いかもしれません。
自己と記憶と時間の深くて込み入った関係をやわらかな心でトークしたいと思います!

1月29日(火)19:30〜
荻窪・Title ご予約 03-6884-2894
http://www.title-books.com/event/5616

もうひとつのお知らせは、こちらです。
7年前にピエール・バルーの誕生日月の2月にオープンしたサラヴァ東京が、2月いっぱいで閉店になります。
サラヴァでは「ことばのポトラック」をはじめとして、さまざまなイベントをさせていただきましたが、これからもピエールの一期一会のスピリットを心に留めていきたいと思い、「Books青いカバ」でブックフェアとトークショーをおこないます。ピエールの著作と、彼と親交のあったジャック・プレヴェールやドアノーの本を並べ、あわせて、彼が何度も行き来したブラジル関係の書物もそろえます。
トークのゲストは、旅する詩人、管啓次郎さんです。
音楽をかけたり、詩を朗読したり、寒さにかじかんだからだがほかほかするような宵にご期待ください。(2019.1.9)

2月5日(火)19:30〜 
駒込・Books青いカバ ご予約 info@bluekababooks.net 03-6883-4507
https://twitter.com/hippopotbase/status/1082825000124436480?s=20


2018.11.27におこなわれた林典子さんとのカタリココ

DSCN2759_2_convert_20181207200512.jpgダーシュ(イスラム過激派)に攻撃されて故郷を追われて離散したシリアとイラクの国境近くに住む少数民族を取材した写真集『ヤズディ』には、今年ノーベル平和賞を受賞したナディアの写真が載っています。
そのことで林さんの仕事に注目が集まるなか、彼女はスライドを上映しながらヤズディとの出会いや取材の模様を語ってくれました。社会的に差別されているクルド人以上に蔑まれているヤズディ。話を聞くうちに簡単には言葉にならないさまざまな思いが胸のうちに去来し、会場は水を打ったように静まり返りました。人の運命が一瞬のうちに変わってしまうのは恐ろしいことですが、それに立ち向かっていく人間の姿は素晴らしく、その両方が伝わってきたのです。
DSCN2715_2_convert_20181207201251.jpg未知の事柄に遭遇すると、それがどのような事態なのか知りたい一心で踏み込んでいく林さん。体が熱くなるような彼女のパッションが次にむけられたのは北朝鮮です。その話も胸を打たれましたが、とりわけ興味深かったのは北朝鮮籍の在日朝鮮人と結婚して北朝鮮に渡り、一時帰国も叶わず、そのまま故郷を想いながら彼の地で歳を重ねている日本人妻の話です。
 林さんはいま生き残った彼女たちに会い、話を訊くことをつづけています。彼女たちの体験は表面的に報道されることはあっても、ひとりの人間の生がドキュメントされたことはこれまでありませんでした。この問題に林さんは社会問題という切り口で迫るのではなく、ましては正義感で取材するのでもありません。人は時代や社会と無関係に生きることはできないのを意識しつつ、ひとりひとりに出会い、その生をできるだけ深く写真と文章で写し取ろうとします。「いまは彼女たちに会いたいという気持ちがいちばん大きいです」という言葉からは、最初から落とし所を決めるのではなく、まっさらな状態でひとりの人間として他者の前に立つことの大切さが伝わってきました。効率主義からほど遠いこうした行為こそが芸術表現の原点。改めてそう思い至った尊い時間でした。
DSCN2771_convert_20181207200648.jpgテレビ番組の出演依頼も多いそうですが、自分の望まない取り上げ方がされそうならば絶対に抗議し、タイトルはもちろん、バックに流れる音楽にも言い分を通すと矜持の持ち主です。こう書くと、堅い鎧を着た人がイメージされるかもしれませんが、写真をご覧のとおり朗らかでしなやかな感性の持ち主で、こういう人と仕事をしたら相手も考えを改めざるを得ないだろうと思わされました!
 来年は北朝鮮のことがまず岩波新書に、ついで赤々舎から写真集にまとまる予定だそうです。大いに期待を寄せています。(2018.12.10)


林典子さんとのカタリココのご報告です!

DSCN2759_2_convert_20181207200512.jpgダーシュ(イスラム過激派)に攻撃されて故郷を追われて離散したシリアとイラクの国境近くに住む少数民族を取材した写真集『ヤズディ』には、今年ノーベル平和賞を受賞したナディアの写真が載っています。
そのことで林さんの仕事に注目が集まるなか、スライドを上映しながらヤズディとの出会いや取材の模様を語ってくれました。差別されているクルド人以上に社会から蔑まれているヤズディ。話を聞くうちに簡単には言葉にならない思いが胸のうちに去来し、会場は水を打ったように静まり返りました。人の運命が一瞬のうちに変わってしまうのは恐ろしいことですが、それに立ち向かっていく人間の姿もまた素晴らしく、その両方が伝わってきたのです。
DSCN2715_2_convert_20181207201251.jpg未知の事柄に遭遇すると、それがどのような事態なのか知りたい一心で踏み込んでいく林さん。体が熱くなるような彼女のパッションが次にむけられたのは北朝鮮です。その話にも引き込まれましたが、とりわけ興味深かったのは北朝鮮籍の在日朝鮮人と結婚して北朝鮮に渡り、一時帰国も叶わず、そのまま故郷を想いながら彼の地で歳を重ねている日本人妻の話です。
 林さんはいま生き残った彼女たちに会い、話を訊くことをつづけています。彼女たちの体験は表面的に報道されることはあっても、ひとりひとりの生がドキュメントされたことはこれまでありませんでした。この問題に林さんは社会問題という切り口で迫るのではなく、ましては正義感で取材するのでもありません。人は時代や社会と無関係に生きることはできないのを意識しつつ、個人として出会い、その生をできるだけ深く写真と文章で写し取ろうとします。「いまは彼女たちに会いたいという気持ちがいちばん大きいです」という言葉からは、最初から落とし所を決めるのではなく、まっさらな状態でひとりの人間として他者の前に立つことの大切さが伝わってきました。効率主義からほど遠いこうした行為こそが芸術表現の原点。改めてそう思い至った尊い時間でした。
DSCN2771_convert_20181207200648.jpgテレビ番組の出演依頼も多いそうですが、自分の望まない取り上げ方がされそうならば絶対に抗議し、タイトルはもちろん、バックに流れる音楽にも言い分を通すと矜持の持ち主。こう書くと、堅い鎧を着た人がイメージされるかもしれませんが、写真をご覧のとおり朗らかでしなやかな感性の持ち主で、こういう人と仕事をしたら相手も考えを改めざるを得ないだろうと思わされました!
 来年は北朝鮮のことがまず岩波新書に、ついで赤々舎から写真集にまとまるそうです。大いに期待を寄せています。(2018.12.10)