休憩なしでたっぷり2時間!

森岡1_convert_201410051946552014年10月4日(土)のカタリココは森岡書店の店主であり文筆家の森岡督行さんがゲストでした。
茅場町に残る昭和初期の建物に足を踏み入れたとたんに、ここで古本屋をしたい!と閃いたことが森岡書店のはじまりだったこと、海外に日本を宣伝するために作られた本・雑誌への興味が『『Books on Japan 1931-1972』の著作に発展したことなど、森岡さんの仕事には昭和初期から戦中・戦後の時代への関心が色濃いですが、その元にあるのは、育った山形県寒河江でおばあさんから聞かされた話なのです。

おばあさんは中学のとき、学徒動員で東京の航空計器会社や逓信局に労働奉仕におもむきます。森岡さんは子供のころ、おばあさんからその当時の話を繰り返し聞かされ飽かなかったそうで、話にでてくる東京の地名を地図にさがし、昭和初期の東京の風景を想像し、戦争とは何かと興味をふくらませていきます。すべてがおばあさんの語りからはじまったわけです。

会場には、戦争が終わって東京を引き揚げるとき、同じ寮の仲間が寄せてくれたおばあさんの手作りの寄せ書き帖、シベリアに抑留されていたおじいさんが、現地から家族に宛てて書かれた手紙なども持参くださいました。ふつなら戦争関係の記念館でしか見ることのできないような資料を手にとりながら、その話を聞かされた少年がどのようにそこから自分の世界を切り開いていったのかをたどる。これまでとはひと味ちがうカタリココになりました。

カタリココの枠組みは朗読をまじえたトークイベントということだけで、内容はその回ごとに異なります。昨秋は森岡さんのアイデアで、南陀楼綾繁さんと江口宏志さんをゲストに、古書店ブームをめぐるトークをしましたが、今回は森岡ご自身さんに登壇いただいて現在までの軌跡を語ってもらい、カタリココの幅がまたひとつひろがったような気がします。
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森岡さんが語ってくださったことは、彼の近著『荒野の古本屋』(晶文社)に詳しいので、ぜひ!
神田神保町の一誠堂に勤めていたときに溜め込んだ古書の知識が、森岡さんの基礎体力になっていて、現在を支えていることがよくわかります。(2014.10.6)(写真上下とも:サカタトモキ)