圧倒される「森山大道 終わらない旅 北/南」展。

omote s(33)那覇の沖縄県立美術館で「森山大道 終わらない旅 北/南」展が開幕しました。国内のこれまでの展覧会では最大規模で、展示作品900点以上というボリュームもさることながら、デビュー作の「無言劇」から現在までを、回顧展形式ではなく構成しているところが見事で、現時点の自分の写真への考えを余すところなく展開したい、という森山さんの情熱を感じました。
 著作のなかで彼は繰りかえし、情緒的な部分をたちきりたかった、それだけが切実な願いだったと書いていますが、写真展を見ていると、情緒的な写真とは何だろう、という素朴な疑問がわきます。見る者の情緒をかき立てる、ということでいえばストリートスナップはどれもそうです。スナップするという行為のベースが、理念ではなく情緒や感覚に依拠しているのですからそうなりますが、「情緒的」であることがネガティブではなく、人間の感情の一部として受容されているスケールの大きさが感じられました。
 これまで発表されてこなかった写真もたくさんピックアップされています。「アクター シミズイサム」のシリーズにも魅力的なものがありましたし、1974年に撮られた沖縄の写真には、今回はじめて展示されるものがかなり混じっています。セレクトによって、またその構成の仕方によって写真がいかに変化し、写真家の「いま」を伝えるか! 驚くべきことです。
 沖縄在住の方はもちろんのこと、県外の方でも見にくる価値がある展覧会です。冬場の格安チケットを利用してぜひどうぞ。1月25日のシンポジウムでは、私はレクチャーとパネルディスカッションを担当いたします。(2013.1.23)