今月号の『新潮』に短編「宙吊り」が載りました。

新潮昨年のいまごろはパリフォトに行っていました。噂にきくフォトフェアにでむき、ロンドンに足を伸ばしてテートモダンで開催中のウィリアム・クライン&森山大道を観てきました。寒かったけど、なかなか印象的な旅だったのです。
 今の『新潮』に掲載されている「宙吊り」という短編小説は、この旅にインスピレーションを得て書いたもの。現実が少しずつズレて虚構との境が曖昧になっていく、いつものテーマを移動に絡めて展開してみました。
 前号の『新潮』では「主人公は視覚である」と題して、藤野可織さんの『爪と目』について書きましたが、こちらはおなじ視覚というテーマをフィクションの形式で扱ったわけで、書いたのは『爪と目』の文章よりもずっと前ですが、互いに響き合うような関係になったのがおもしろいです。世界へ見方の本質的な部分は文学よりも写真から得ているという実感が私にはありますが、もしかしたら藤野さんのなかにも同じような感覚があるのかもしれません。(2013.11.15)