松本竣介展を見た。

images.jpeg正月休暇を見逃していたものを見るのに費やす。世田谷美術館の松本竣介展もそのひとつ。1940 年代の街・都会・建物の作品にとくに惹かれた。何度もスケッチし、パーツを組み替え、別の街に仕立てている。その静かな興奮と歓びが伝わってくる。

「風景(駅の裏口)」を一目見て代々木駅東口だとわかった。わかるとものすごくうれしいのはなぜだろう。いまもこのままの姿をしている。忘れられない形状である。描きたくなる気持ちがわかる。描くことは愛なのだろう。

戦時中、彼は家族を疎開させて自分ひとり東京に残った。十代で聴覚を失った彼は徴兵を免除されたのだった。家に帰ってもだれもいない。自分ひとりの空間とひと気のない街はそのままつながっている。街と、建物と密かに交信していたのだ。(2013.1.7)