今年最後のカタリココ、鬼海弘雄さんの箴言が効きました!

昨晩の鬼海弘雄さんは快調でした!キカイ節でどんどんと飛ばすので、質問を挟む余地もありません。いつもはときどき会場に視線をむけて様子を確かめつつ進めるのですが、昨晩は見なくとも観客の集中度がビンビンと伝わってきて、ただ流れのままに任せておけばよかったのです。

鬼海さんはアフォリズムの人で、言葉が屹立します。とくに印象深かったのは、「わたしは人間は美しいということを写真にしているのだ」という言葉でした。人間は美しい! これはなかなか口にできない言葉です。少なくともわたしはそう言えない。そう信じる根拠を持っていない。

鬼海さんがこの言葉をさらっと言えてしまうのは、記憶の古層にその感触をはっきりと抱いているからです。故郷の山形県醍醐村での子どものころの体験を描いた最新エッセイ集『眼と風の記憶』を読むと、そのことが痛切に伝わってきます。

人間は本来美しい生き物なのだ、ということを写真を通じて問うていく。それが彼の表現者としてのミッションなのです。思えば、生きてきた時間のなかから醸成する問いを、死ぬまで発ししつづけるのが表現の行為ですが、口に糊することに傾いたり、ささいなことに心をとらわれると、ふとそのことを忘れがちになります。昨夜は原点に立ち戻ることができて身が引き締まりました。カタリココは再確認の場でもあるのですね!

昨夜で2012年のカタリココが終わり、来年は7年目に入ります。年末に古書店主の方々と企画会議をしながら2013年のカタリココについて詰めていきます。4月にはラインナップを発表いたしますので、みなさまどうぞ楽しみにお待ちください。(2012.12.9)