「ことばのポトラック in 名古屋」のご報告

R0020285_convert_20121015184322.jpg「ブックマークナゴヤ」からご招待いただき、昨日、堀江敏幸さんとふたりで「ことばのポトラック in 名古屋」をおこなってきました。市内の大須観音近くの七ツ寺共同スタジオが会場でしたが、まずこの場所がとてもおもしろかったです。寺山修司の天井桟敷や、ニューヨークのラ・ママ劇場を想わせる黒塗りの箱のような空間で、70年代半ばにできて以来、全国の名だたる劇団が巡業公演をしてきました。まさに小劇場運動の歴史を担ってきたトポスという感じで、外観もなかなか迫力があります。左の写真が劇場正面で、手を挙げているのは堀江さんですが、なんだかパリの街角のように見えませんか?

第1部は「ことばのポトラック」について、大川景子さん編集・構成の映像「ことばのポトラック・ダイジェスト」を上映し、それぞれの作品を朗読。すぐに効果が現れるものではないけど、つづけていくことに意味があるというポトラックのスピリットを再確認し合いました。理想は、だれがどうやってはじめたか思い出せないほど長くつづくことです。

休憩を挟んで第2部は、岐阜県多治見出身の堀江さんの子供時代へと話が発展。そもそもこのイベントに呼んでいただいたのは、堀江さんが中部出身ということがあったからですが、東京ではなかなか伺えない貴重なお話がつぎつぎと飛び出し、感動しました。代々東京の生まれで、都会の人間関係のなかで育ってきた私のような者には、自分以前の人間から何かを受け継ぎ、つぎに手渡していくというのは、理屈としてはわかっても実感としては希薄で、顔のわかる範囲にしかなかなか想像が働かないのですが、R0020286_convert_20121015184500.jpgどうやら堀江さんのなかには、血のつながりを超えて何かが手渡されていくことへの信心のようなものがあり、しかもそれが実に不思議な彼の自意識のありようともつながっているような感じを受けました。

風土だけがひとりの人間を作るわけではないですけど、風土なしには人が作られないのもまちがいないことです。その意味で今回のトークから与えられた示唆は大きく、また彼の作品を読み解く新たな糸口が見つかったようにも感じました。                    やはり旅はしてみるものです。(2012.10.15)