街歩きが加速しはじめました!

??????_convert_20111207161529夏の終わりに足をケガしてから、散歩の調子がいまひとつで、痛いわけではないけど1時間ほど歩くと帰りたくなることが多かったのですが、11月後半あたりからがぜんリズムがもどってきました。完治に3ヵ月かかると医者に言われてたんですけど、指折り数えると、ちょうどそのころが完治の時期だったんですね。もういくら歩いても大丈夫!週末になると、「日和下駄とスニーカー」(毎日新聞・日曜版連載)のために、つるべ落しの陽ざしと競うようにして歩いてます。
永井荷風は『日和下駄』のなかで散歩の項目を11個あげていますが、それをひとつずつ制覇して、いまは「路地」の編。先週末には高輪を歩きました。あのお屋敷町に路地があるのかって? それがあるんです!しかも魅力的なのがたくさん。地下鉄南北線が通るまで、交通の便がよくないために、特に高輪の桜田通りの側に古い住宅地が手付かずに残っていたことが大きな理由です。いまそこに再開発の手が延びており、以前から気に入っていた路地がまだあるかだろうかと不安を覚えつつ行ったところ、ありました!
路地が多いのは、起伏の多いエリアで台地から谷に下りて行くのに通路が必要だからです。車の通れる坂道の数は限られているので、台地の際に建っている家の人が坂道を迂回しなくても谷に下りられるように、家と家のあいだに路地が設けられたわけです。階段状のものが多く、人ひとりがようやく通れるほどの幅。こういう路地を見つけて、通り抜けられるだろうか……と案じつつ入っていくときの興奮といったら、何にもかえがたい特別なものです。さて、高輪で路地歩きをしたあと、日没前にどうしても行きたいところがありました。勝本みつるさんが、10月まで住んでおられた場所で行った展覧会の最終日だったのです。地下鉄で都心を横断して巣鴨へ。
?§????_convert_20111207161948
巣鴨と言えばとげぬき地蔵で有名で、和風のイメージがありますが、建物があったのはそれとは反対側の染井霊園の近くで、周囲には樹木が多く、黄色く染まった銀杏の木が夕陽に光るのを見とれるうちにそこにたどりつきました。
築75年の洋風の集合住宅で、天井が高く、窓やドアやその把手やクローゼットなど、すべてのものがじっと見入ってしまうほどのおもしろさ。そこに配された勝本さんの作品は、まるでその空間から生えてきたように感じられました。床に置かれたモスグリーンの毛皮につつまれた丸い鏡なんて沼のようで、その鏡のなかが地底につながっていてもおかしくないし、クローゼットの扉の奥は、『スケートをはいた馬』のお話さながらに、別の場所に通じているかのようでした。こういう部屋に住んだら、私も書くものが変わってくるかもしれないと思うほど、空間の圧倒的な力を感じました。
ここに挙げた写真2点は、ひとつは高輪の路地で、もうひとつはその館ですが、東京とは思えない感じがします。周囲を切り落としてそのものだけを浮かび上がらせる写真の魔法ですね。(2011.12.6)