9月のカタリココ、書くことの切実さが伝わってきた平松洋子さんとのトーク。

R0011961_convert_20100918112836.jpg 平松洋子さんとはある場所で一度ご挨拶をしたことがありますが、ちゃんとお話するのは先週のカタリココの場がはじめてでした。まずはメールでやりとりをしたのですが、そのときに彼女のほうから料理の話題でないことを話したいというリクエストがありました。わたしもその考えには賛成でしたので、「結局は書くことについての話になるでしょう」とお答えし、細かいことは決めずにスタートしたのですが、まさにその話題に突き進んでいくトークとなりました。
 自分に勤め人はできない、書いていくことを仕事にしたい、それなら食に関することがいい、そんなふうに自分の道を探ってきたと平松さんは言います。その道がいまや食から本や読書の世界に拡大し、文芸誌『すばる』で連載中の「野蛮な読書」九月号では写真の話をされており、度肝を抜かれました。平松さんと写真の関係なんて思いもつかなかったので!
 写真は二十代のころから好きだったといいます。二十一歳で深瀬昌久の『洋子』を買ったというのですから、かなりディープでマニアックなファンなのがわかります。なぜこれまで写真のことを書かなかったのか、そしていまこの連載でそれを書いているのはなぜか、そう問うと彼女は、写真は大切すぎておいそれとは書けなかった、でも連載を持つには自分を崖っぷちに立たせなくてはならないとあえて追い込んで書いてみた、と答えられました。
R0011962_convert_20100918112932.jpgすでに自分のなかで答えの出ていることを書くのではなく、書くことを通じて答えを見いだすところとに書くよろこび、醍醐味があります。おなじようにカタリココの場も、あらかじめ用意された答えを発表するのではなく、答えを出そうとする姿、いや答えは出ずとも考える姿をさらすところにライブのおもしろさがあると感じています。その意味で、言葉を選びながらとつとつと語る平松さんの姿はとてもスリリングで、著作を読んでいるときとはまたちがう魅力がほとばしり出ていました。これだからカタリココは止められない!(2010.9.19)

(トークシーンの背景にあるのは、会場のブックギャラリー・ポポタムで同時開催された嶽まいこさんのドローイング作品。色鉛筆を巧みに駆使して描いた架空のメニュー!)