近著紹介(2009年発刊の2冊)

「随時見学可」の書影『随時見学可』(みすず書房)
10篇の短編を集めたこの本の隠れテーマは、インテリア/イクステリア。
建物の内部/外部のことであり、身体の内部/外部のことでもあって、見えるものと見えないもの、現実と非現実、意識と無意識などの意味が込められています。
また、一人称単数の主語を削ぎ落とし、10篇を現実から超現実へと移行するように並べることで、知らない間にインテリア=意識の内部に誘われるように構成してみました。

装丁は若手デザイナーの五十嵐哲夫さん。本の手触り感が薄れつつあるいま、彼のポップで力強いレタリングはとても新鮮です。ステンシル効果を狙った印刷文字に、むかしの看板のような風合いがでています。また本書は、これまでウェブデザインが中心だった彼がはじめて手がけた本の装丁であり、その意味でも記念すべき仕事となりました。

個人美術館の旅・書影『あの画家に会いたい個人美術館』(新潮社とんぼの本)
全国の個人美術館を訪ねて、1点1点の絵と時間をすごしながら、人と作品について考察しました。
2002年に『個人美術館の旅』(文春新書)を出しましたが、重なっているのは3館で、14館が新たな登場です。
だれもが知っている東山魁夷から、知られざる魅力の画家まで、17人の画家を取り上げています。