もっと言葉を!!!

東京都写真美術展で開催中の「古谷誠一 メモワール.」を展を見た。彼の撮影した20年間の写真を7つのカテゴリーに分けて展示している。ただ時間軸を追って名作を並べるのではなく、再編集しているところが意欲的だ。とくに古谷の自死した妻と、彼女の生んだ息子との対比が浮かび上がる、「クリスティーネ」と「光明」のカテゴリーは、写真の残酷さが出ていて興味深かった。だが、広くはない展示会場に7つのカテゴリーはちょっと多すぎでは? とくに「エピファニー」などの言葉は一般人にはわかりずらいだろう。また会場に古谷の年表がないのが疑問。自己の体験を写真を介して咀嚼する仕事は背景がわからなくては読み込めない。美術館のサイトに載っている彼のインタビューが内容を理解するよき助けになるが、そこから言葉をとって展示するなどしてもよかったかもしれない。現状では古谷誠一の仕事をすでに知っている観客はいいとしても、初めて飛び込んできた人にはイメージの羅列に見えてしまい、せっかくのカテゴリーが活かされない感じがある。絵画の展覧会には年譜はもちろんのこと、各章ごとに説明版があるが、写真展にももっとそうした工夫が欲しい。写真関係者に言葉を遠巻きに使う傾向があるのがなんとももどかしい。(2010.6.28)