生きていく呪文としてのことば

DSCF2979_convert_20100417224739.jpg昨夜のカタリココ、ゲストは春日武彦さん。精神科医として臨床の現場にたずさわってらっしゃる春日さんの文芸評論には独特の切り口が光りますが、その元が明らかにされるようなひとときでした。「病名」を名付けることでも、ましてや患者にそれを納得させることでもなく、本人が生きやすくなるように導くことが精神科医の仕事である、ということばに深く納得。「作話症」のような症状も、虚構の物語を作らずにいられない切迫感から生み出されるし、同じ話が繰り返されるのも、生きていくための呪文のようなもの。それを「異常」とみなして除去に向かうのではなく、複雑な心をもった人間という生き物が、生命活動をつづけていくための必然としてとらえる視点に、観客がひとつになって大きくうなずきました。人はことばから、物語からのがれられない存在。「生きていくための呪文」は文学の出発点であるんですね!(2010.4.18)