大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

7月16日のカタリココ。ゲストはノンフィクション作家の高橋秀実さん!

7月16日のカタリココはノンフィクション作家の高橋秀実さんにお越しいただきます。高橋さんのお仕事に興味をもったのは、昨年、日経新聞で「プロムナード」というエッセイの連載でご一緒したのがきっかけでした。毎週、月曜から土曜までちがう筆者が受け持つのですが、高橋さんの回がダントツにおもしろかったのです。

新聞のエッセイというのはなかなかむずかしく、気軽に読めるものを目指すと身辺雑記になってしまい、かといってワンテーマで追っていくと読み切りのおもしろさが損なわれます。毎回読む人がちがうことを想定して、素材を選び、料理する、と簡単そうで奥が深い世界です。高橋さんのエッセイは、ごく卑近な話題からはじめて読者をだんだん遠くに連れていき、最後には思わぬ場所に着地させるという、まさにエッセイのお手本のようなすばらしさで、来年のゲストは高橋さんだ、と連載中から密かに念じていました。

高橋さんとの仲立ちをしてくれたのは関川夏央さんです。初期から高橋さんの実力に注目していたそうで、『ご先祖さまはどちらさま』の冒頭では、2度しか会ってないのに高橋さんを「お前」呼ばわりした作家として登場します。「もし関川さんも一緒に居てくださるなら……」というのが高橋さんの出演条件だったので、関川さんもスペシャルゲストとして登壇くださることに! 朗読コーナーでは、「プロムナード」の文章でそれぞれが印象的だと思った回を高橋さんとわたしでリクエストし合って朗読しますが、追加で『ご先祖さまはどちらさま』の関川さん登場の場面も(ご本人を前に!)読んでいただこうと思います。めったにトークショーに出られない高橋さんに、彼を引っ張り出してくれた関川さんも加わっての、「一度で二度おいしいカタリココ」をぜひお見逃しなく!

開催日時:7月16日(木)19:00開場 19:30開演 
会場:古書ほうろう  東京都文京区千駄木3-25-5 tel:03 3824 3388 horo@yanesen.net

上のメニューバーの「これからのカタリココ」をクリックすると、会場である古書ほうろうの宮地健太郎さんからのコメントがご覧になれます。そのなかで宮地さんは、テーマを決めずに書く高橋さんのスタイルについて言及していますが、わたしもそのスタイルできたので、高橋秀実さんを同志として深く敬愛している次第です!(2015.6.16)

2015年カタリココのトップバッターは、内藤礼さん!

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 2015年6月4日ボヘミアンズ・ギルドでおこなわれた本年最初のカタリココは、美術家の内藤礼さんにお越しいただきました。開演の7時には予約者全員が席に着き、めったに公の場にでられない内藤さんのことばを固唾を呑んで見守りました。
 私が内藤さんとお話しをしたいと思ったのは、昨年東京都庭園美術館での「信の感情」展で「地上はどんなところだったか」という映像作品を観たことです。内藤さん自らビデオカメラを握ったこと、撮影のために沖縄にいったこと、それになにより、そこに映っている人々がカメラなど存在しないように自然にふるまっているのに驚かされました。
 作品には「ちいさな人」が出てきます。目だけがついた木で彫られたひとがたです。この「人」を彫り出したのは東日本大震災後。人を作ろうという強い衝動が起きてたくさん作り、そのうちの一人を沖縄本島最北にある奥という集落に連れていきました。その人は「見たものを希望だと思って信じて疑わない人」です。人間ではそういうことはあり得ないですから、内藤さんが作りましたが、内藤さんを超えた何かであろうとする存在です。
 その「小さな人」を村の各所に置き、その人の目と化して奥集落を撮影しました。その「人」がなにかを見たと実感するまで見つめつづけるという集中した時間のなかで、撮影者が消え、視線そのものになったのでしょう。村人が意識せずに振る舞えたのはそういうことだろうと想像します。尋常でない集中力が発揮されると、体はそこにあるのにいなくなるというマジックが起きますから。
 自意識や自我は内藤さんの大きなテーマですが、私にとっても同じで、後半はその話に発展しました。自我から離れたいという思いと、自己を確立したいという思い。自分を知られたくないという思いと、作品を見てほしいという思い。相矛盾する感情ですが、何事かに集中する時間を持つことで忘我になり、そのあいだを通り抜けていくことが生きる実態なのかもしれません。
 最近内藤さんは、絵に色が付くだけで楽しくなったり、物の形を見るだけでうれしくなったりすることがあるそうです。何も起きていないのに、何の理由もないのに、おかしくなって、ふふっと笑ってしまう。「年をとると思ってもみなかったことが起きます」ということばに心から同感。
 最後に内藤さんが発せられたとても有効なことばを書き留めておこうと思います。「私は「私を生きる係」をやっているのです」。「役割」でも「役目」でもなく、「係」という慎ましいさがいいです。「私」にこだわりすぎたり、自意識に絡めとられそうになったとき、このことばを唱えてみると、縛っているロープがはらりと解けそうに思います!(2015.6.10)



  

6月の「迷走写真館」はこの写真です!

6534176f.jpgいつまでも眺めていられる写真とはこういうのを言うのではないでしょうか。モノがぎっしりと詰め込まれた細密画のような空間です。ウィンドーディスプレイによって客の目線を引きつける必要がなかった時代、お店の様子はみんなこんなふうでした。客は何を買いたいかわかって来ますから、店主はそのモノの位置さえが掴んでいればよかったのです。うちのそばにもこういう雑貨屋が一軒残っていて、四谷の「東急ハンズ」と呼んでます。いつ行っても閑古鳥が啼いてますけど……。→ギャラリーときの忘れもの(2015.6.7)

映像「ことばのポトラック vol.11 ダイジェスト」を公開しました!

毎回、本編前に、前回の「ポトラック」の映像を上映しています。先日の「ポトラック」でも昨年4月に開催した「vol.11」の映像をご覧頂きましたが、それをYouTubeにアップいたしました。撮影・編集はおなじみ大川景子さん。15分ほどのピリッとした作品に仕上がってます。出演はいとうせいこうさん、華雪さん、吉増剛造さん、堀江敏幸さん、大竹昭子の5名。吉増さんの怪演ぶりがすごいです!→「ことばのポトラック vol.11 ダイジェスト」

「本のポトラックvol.12」にご協力をありがとうございました。

070.jpg                                     @サカタトモヤ
毎回「ことばのポトラック」では、出演者の著書と推薦本を出版社からご寄贈いただき、割引価格で販売する「本のポトラック」をいたします。本年はとても売れ行きがよくて完売し(写真は出演者が推薦本の説明をしているところです)、これらの売り上げ金と会場収入をあわせた108.000円を、次回の寄付金としてプールいたしました。ご協力くださった以下の13社にお礼を申しあげます。ありがとうございました。

新潮社/岩波書店/平凡社/アルテス・パブリッシング/中央公論新社/集英社/講談社/朝日新聞出版/翔泳社/朝日出版/筑摩書房/福音館/河出書房新社/文藝春秋