大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

建築家の乾久美子さんと「この写真」トーク!

ギャラリー間で開催された乾久美子研究室による「小さな風景からの学び」展がとてもおもしろく、乾久美子さんと「この写真がすごい」トークをすることになりました!
乾さんとトークしたいなと思ったのは、たとえば次のような写真を見たからです。この正面きった構図にぐっときます。撮り方が建築の図面っぽいですよね。
トークでは、乾さんに「この写真」から「すごい」と思うものを選んでいただき、私も同様に彼女の『小さな風景からの学び』(TOTO出版)から何点かセレクトし、それを上映しつつ、建築家と物書きの双方の立場から写真の「おもしろさ」を探求いたします。
建築関係の方々はぜひ。5月28日の寄藤さんとのトークを逃した方も。寄藤さんの爆笑ものの秘蔵写真もお見せいたしますから!

7月9日夜8時から下北沢B&Bです。

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昨夜の片岡義男さんとのトーク・メモ

「風景」ということばは、それを見ている人の感情が入っているような、いないような曖昧な言葉だからあまり使わない、と昨日のトークで片岡義男さん。英語だと「風景」はlandscape。たしかにずいぶんと差がある。
片岡さんの小説ではよく「景色」という言葉が使われる。『短篇を七つ、書いた順』の「エリザベス・リードを追憶する」にも、バーのママのリアリティーあるセリフとしてこの言葉が登場する。この「景色」は「場面」のことです、と片岡さん。scene 、あるいはviewの意味だ。
前回の堀江さんとのトークのときに、「雨は浮世ではないが、通り雨は浮世だ」という話が出ていた。「風景」を仮に外界のあり様と定義するなら、浮世と一線を引いた状態をそのまま表現する言葉は日本語にはないということ、あるいは「風景」という日本語は「見る」という行為があってはじめて「眼に見えてくる自然、あるいは現実のあり様」のことを指している、ということだ。

もうひとつ、同じ本に出て来る「なぜ抱いてくれなかったの」という言葉について。
短篇のタイトルでもあるのだが、むかしの女友達に三十四年ぶりにあった男が、彼女にそう言われるのである。「抱く」「抱かれる」は男の側からの言葉だ。こういう言葉は、これまでの片岡さんの小説にはあまり見られなかったように思う。飲む場所は以前はもっぱら女性のいるバーやクラブだったが、最近は居酒屋によく行く、という片岡さんの近況の変化と、こういう言葉がさらっと小説に出て来ることは、関係あるのか、ないのか。
 もっとも、このセリフを吐いているのは五十を過ぎた女性である。再会した男にこう言うのだから、ジョークっぽい感じがあるし、女の余裕も感じさせる。ひと捻りあるのだ。

片岡さんの小説で女性がベッドシーンで言うセリフで好きなのはこれだ。
バーで閉店まで飲んで、成り行きでバーの女性の家に泊まる。もちろんその夜にして、翌朝のベッドで再び男がその気を見せると、女が言うのだ。「またするの」。
白みはじめた窓が目に浮かび、まったりしたふとんの温かさがよみがえる。風景と情景と景色と光景が四つ巴になって立ちのぼってくるような、素晴らしいセリフ!(2014.6.29)

つぎの土曜日、片岡義男さんと写真の話。

4月から下北沢B&Bではじまった「片岡義男と週末の午後を」。3回目の6月28日は、写真とことばをテーマに私がお相手を務めます。5月の堀江敏幸さんがゲストの回では、片岡さんの小説では作者と登場人物が自己を認識していく角度が同じである、主人公の認識の過程に作者が楔を入れて行く小説である、というすばらしい指摘が堀江さんからありました。
なるほど、その通りです。認識が抽象的な過程をたどらず、具体的な物を介して、屹立するような時空間でなされるところが特徴です。
小説を書く時間と町を徘徊して写真を撮る時間は、両極端の関係にありますが、その2点を往復するところに「片岡義男」という作家の本質がある、と思います。「撮る人と書く人が重なる場所」こそが、片岡義男流小説作法なのです!
前回は手に汗をにぎるノンストップの2時間でしたが、次回はどうなるか、緊張しつつ準備を進めています。(2014.6.20)

7月17日のカタリココの予約、はじまりました!

ゲストは、作家で、日本文化研究家で、ジャズピアニストで、といろいろな顔をもつマイク・モラスキーさんです。彼の手にかかると、居酒屋もジャズ喫茶もほかの人が語るのとはちょっとちがう輝きを見せます。それはひとえに彼の着眼点のおもしろさです。私たちが見逃しているところに眼を据えて、観察する、その鋭さが世界を立体的にみせてくれるのです。 トークのテーマは「人・店・町」。終わって会場を出ると、いつもの風景がちがってみえてくるでしょう!(2014.6.17)

日時:7月17日(木)18:30開場、19:00開演
会場:古書ほうろう
料金:1500円
予約:03-3824-3388 horo@yanesen.net

6月第3週の週末、『この写真がすごい2』は沖縄に飛びます!

初日の6/21は浦添のrat & sheepというカフェでの写真ワークショップです。参加者からあらかじめ「すごい写真」を送っていただき、それを上映しながら観客のみなさんとともに「どこに惹かれるか」「おもしろさを生んでいるものは何か」を言葉にしていきます。よく写真家の方々を見ていて思うのですが、自分の写真を見直して考えるということを意外にしていないんです。もったいない。その作業をすれば、撮り方も、写真集や展覧会の構成ももっとちがってくるのに。
このワークショップははじめての試みですが、参考になることがたくさんあるはずです!もし成功したら、今後いろな場所で展開するつもりですので、沖縄からはもちろんのこと、本土からも、この記念すべきイベントへにぜひご参加ください!
caption_convert_20140607103531.jpg翌6/22は栄町市場ボトルネックというお店でのトークショーです。先日寄藤文平さんのトークのときにお見せした写真や、私が新たに仕入れた写真などを上映します。そう、早くも『この写真がすごい3』をライブ版でお届けしようというわけです。東京は梅雨のまっさかりですが、沖縄ではもう明けているはずです。オリオンビールを呑みながらの、楽しい場となるでしょう!
企画は栄町市場内の宮里小書店。詳しくは『この写真がすごい2』facebookをご覧ください。
https://www.facebook.com/sugoiphoto
写真:栄町市場のボトルネック     (2014.6.7)

『In The City』に短篇を書きました。

18236-body_convert_20140605133237.jpgビームスから出ている文芸カルチャー誌『In The City』の創刊は2010年、早くも4年目に入ります。
毎号テーマがあるんですが、今号は「スニーカー」。短篇のタイトルは「ユリオ」。漢字で書くと「友利生」だけど、そのしぐさが「百合男」としか思えない犬っぽい男の話です。これまでの短篇とはちょっとちがう雰囲気かも。(2014.6.5)

2014年のカタリココは、寄藤文平さんで幕を開けました!

2014年5月28日、寄藤文平さんをお迎えして神保町ボヘミアンズギルドで行われた本年最初のカタリココ。爆笑の一夜からあっという間に1週間がたってしまいましたが、そのご報告を。
まず『この写真がすごい!2』から寄藤さんがセレクトした写真6点を上映しました。寄藤さんが気になった写真というのですから、ちょっとひねりが効いています。6番、24番、44番、60番、69番、70番。これらを上映し、どこが気になったか、おもしろいと思ったかったかを語り合いました。いちばん長く話したのは60番です! 彼から思いがけない意見が出ましたが、それは今後おこなわれるトークの話題にとっておきましょう!
寄藤_convert_20140604112356寄藤さんはインターネットなどで見つけたおもしろい画像をチェックし、カードにして、ときどきご覧になるそうですが、後半はその画像をネタにトークしました。どれもおもしろくて、会場は沸騰!左の写真にあるのはポスターを撮ったもので、飛んでしまって見えませんが、このハサミの下に四文字の漢字が並んでいて、それとハサミが合体するとなんとも「痛い!」図になります。

絵や写真に言葉が添えられることによって(またその逆によって)、観客とのあいだに共通の場が立ちあがっていくのがまざまざと実感されました。トークショーの醍醐味はこれですね。

上映が終わって質問コーナーでは、写真集と一般書とデザインするときの態度にちがいはあるか?という質問がでました。ナイス・クエスチョンです! というのは活字の本には寄藤カラーが濃厚ですが、写真集はそうではなく奥付を見てわかることが多いのを、私も不思議に思っていたのです。

一般書ではじわじわと攻めていくが、写真集では電圧を上げて一気に造り上げるとのこと。つまり、部数の多い本の場合は依頼者のイメージする寄藤カラーをどう演出するかを考慮しますが(うまくいけば次の仕事がつながります)、ひるがえって、写真集では寄藤カラーではなく、内容をいかに形にするかに重きがおかれます。そこに焦点を合わせて集中してモノとして仕上げるのがとてもスリリングとのこと。ナルホド!と納得したのでした。
IMG_3572_convert_20140604142235.jpg寄藤さんとトークする楽しさは、その場で一緒に考え、言葉を積み上げていくことです。延々と話ができそうな気がしました。(2014.6.4)

6月の迷走写真館はこの写真です!

dakata_convert_20140601053733.jpgベッドに横たわる人を、鍵穴からのぞいているようなフレーミングだ。像のアレ、ブレも気になる……。→ギャラリーときの忘れもの

ただいま渋谷のアツコバルーで、この写真の作者、アントワーヌ・ダカタの写真展を開催中。作品を鑑賞するという態度にまっこうからノンを宣言した会場構成は必見! なかなか知ることの叶わない世界の実像に戦慄する。