大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

永井荷風『断腸亭日乗』、再読中。

『断腸亭日乗』永井荷風が余丁町の自室を「断腸亭」と命名し、そこで日記を書きはじめたのは大正6年、荷風39歳のときだ。それから死の直前までほぼ毎日つけられた。岩波文庫から出ている上下2冊の短縮版は持っていたが、抜粋じゃだめだ、ぜんぶ読まねば、と思ったのは毎日新聞で「日和下駄とスニーカー」の連載が決まったときである。

神保町の店頭に全7冊がひと括りにされて出ているのを見つけて買ってきた。昭和59年に岩波書店から発刊されたもので、7巻もあるのに持ち上げてみると意外なほど軽かった。厚ぼったいが軽い紙が使われているのだ。この軽さに背中を押されて読破できたような気がする。

先日、ふとこれを読み返そうと思い立った。夏休みは日記だという連想だったのか、自分でも不思議な心の動きだが、読み出したらおもしろくて、毎日1年ずつ読み進んでface bookにコメントを書いている。(2013.7.31)

7月の書評空間をアップしました。

対岸
7月の書評空間は今年度の木村伊兵衛賞を受賞した百々新さんの『対岸』(赤々舎)。カスピ海沿岸にある5国の町をピンポイントで訪ねた旅の記録です。この5つがどこの国か言い当てられる人は相当な旅の達人ですね。わたしは失格……。本書がこのエリアへと導いてくれました。(2013.7.31)

黒岩比佐子さんを忍んで、井上孝治写真展とトークショー

exb_20130820_convert_20130709121851.jpg暑い夏にぴったりのこれは、福岡の街をたくさんの写真に残した井上孝治さん(1919-1994)の一点です。わたしが井上さんの写真を知ったのは沖縄に通っていたころ。むこうの写真家から『あの頃ーー1959年、沖縄の空の下で』を見せられ、地方にこのような優れた写真家がいることに感動しました。
1999年には井上さんの評伝『音のない記録ーーろうあの天才写真家井上孝治の生涯』が出版され、それを書評したのをきっかけに、筆者の黒岩比佐子さんと知り合いになりました。のちにこの本が文庫化されたときには、解説も書かせていただき、そのときに一緒にお食事をしたのが黒岩さんにお会いした最後でした。

8月20日から9月1日、黒岩比佐子さんのお仕事を追悼して、神楽坂のアートガレー・カグラザカで<昭和へのまなざし「音のない記憶」ろうあの写真家・井上孝治と評伝作家・黒岩比佐子の世界>が開催されます。東京では目にする機会が少ない井上孝治さんの写真をぜひご覧ください。写真の魅力をあますことなく引き出したすばらしい作品です。
8月31日のトークショーでは、孝治さんのご子息の井上一さんとわたしでお話をいたします。

しりあがり寿さんの融通無碍な空気に乗って。

IMG_0007_convert_20130707085309.jpg2013年7月5日(金)、しりあがり寿さんをゲストにお迎えし、カタリココが開催された。場所は目白のポポタム。藤枝奈己絵さんの漫画展がおこなわれている会場に、いつもとはちがうレイアウトで椅子を並べてみた。

しりあがりさんとお会いするのは、今回がはじめてである。トークショーを拝見したことはあるが、お話をしたことはない。でもはじめてのような気がしなかったのは、昨年ボヘミアンズギルドで祖父江慎さんとお話ししていたからだろう。ふたりは美大の漫画研究会の仲間だ。はじまる前は祖父江さんが学生のころどんなだったかというお話を聞いていて、時間がきたらそのままカタリココに移行。しりあがりさんの単行本の装丁の多くは祖父江さんが手がけているので、ここにこんな仕掛けがあるんですよ、と本を開きながら例を示してくださるなど、ふたりのつながりを意識して企画したわけではないのに、連続した内容になったのはおもしろかった。

実はわたしは漫画をほとんど読まない。子供のときからそうだった。漫画の様式的な表現が苦手なのだ。だが、彼は言う。漫画の強みは様式にあると。頬に汗を描けば焦っていることを表す、というように、記号化された描写があることで描く内容に速度がでる。漢字のようなものなのだと。きっとわたしは漢字練習が足りないのだろう。しりあがりさんは固定したスタイルをもたずにさまざまな描き方を横断している。内容を超えた形式にも意識が払われているゆえに、わたしのような漫画の部外者でも入っていけるのだ。写真_convert_20130707085729
朗読は大好きな『ア○ス』のネームを読んでいただきたいと思っていた。ひとりの女が素っ裸になって脳内世界の外に出ていく話で、通常の漫画の圏内から飛び出している。パロディー漫画からスタートしたので、ここでひとつ自分を掘らないといけないと取り組んだというが、だいぶ前のことなので話の顛末を忘れていて、自分の書いた結末に驚いていらした。予想のつかないものに引っ張られて描くとき、その勢いは必ず読者に伝わるものだ。

漫画は絵と言葉とコマ割りによって空間をつくることだということばにも納得。意味だけを伝えるものではないということだ。これはすべて表現に通じる。(2013.7.8)

ラップが生まれた80年代のNYイーストビレッジへ!

20130721_ny1980.png新宿二丁目の細い通りにこんなカフェがあるとは!カフェ・ラバンデリア。スペイン語で洗濯屋さん。もとランドリーだった場所をカフェに改装したのでこの名がついてます。
ここを知ったのは、トランジスタ・プレスという版元を主宰している編集者の佐藤由美子さんに、ある場所で出会ったのがきっかけでした。彼女はその店の経営者のひとりなのです。お店に出かけていった日に、たまたま小池昌代さんの詩の朗読会があり、その偶然にも惹かれました。
ビートニクスにシンパシーをもっている場所ですので、路上が近いです。街をほっつき歩いていた1980年頃のニューヨークのことを、スライド上映しながら語ります。ヒップポップが生まれたころの街の活気を身に浴びてください!7月21日(日)18時からです。トークのあとにはラップパーティーも企画されています。(2013.7.3)

7月16日、森山大道さんとトークショー決定!

5月の書評空間で森山大道さんの『実験室からの眺め』と『サン・ルーへの手紙』を同時書評したのをきっかけに、7月16日に紀伊国屋書店新宿南口店で森山さんとトークショーをすることになりました。その書評のなかでも書きましたが、昨年サン・ルーに行き、ここで写真が生まれたのかと感慨にふけりながら、強い日差しのなかを歩いてきました。もちろん、森山大道さんのことも思いました。なぜ写真の原初が気になるのか。なぜニエプスなのか。また『サン・ルーへの手紙』の初版が出た1990年に比べると、彼の世間状況はドラスティックに変化しましたが、それについての感想は? デジタルに移行したことで何を感じ取っているか。興味深いテーマがいくつもあります(2013.7.3)

『東京人』8月号で高輪を歩きました。

toukyoujin.jpg8月号は「東京の古道を歩く」という特集です。表紙の道は武蔵野かどこかのようですが、皇居の吹上御所の北側を通る古道。都心の真ん中にぽこっと江戸が現れたような不思議な空間です。わたしが歩いたのは、三田から高輪消防署に抜ける二本榎通りという尾根道。中原街道の一部で、気に入っている道の一つです。
道の左右には寺が散在し、有名なところでは泉岳寺があります。
今回は江戸の古地図を手にしながらの散策で、これまで地形図一本槍だったわたしも、古地図の魅力に少し接近できたような気がしました。(2013.7.3)

『WEDGE』で新連載がはじまりました!

img_e60cba040cccd4c4e6cb6a09f47b9c05251449.jpg 月刊誌『WEDGE』のカバーフォトを読み解く「読む写真」という連載です。第一回は佐伯慎亮さんの撮った三人の子供が森の道を歩いている写真を、光を手がかりに考えてみました。編集部が四季ごとに佐伯慎亮さん、渋谷征司さん、浅田政志さんの写真からセレクトし、それについてわたしが語るという内容で、ビジネス雑誌のなかで異彩を放ってますが、写真の見方がわかれば写真のファンがもっと増えるでしょう!(2013.7.1.)

7月の迷走写真館はこの写真です!

nippon_nagano__convert_20130630132837.jpg今年2月にスタートしたこの連載、早くも半年を経過しました。どう読み解いていけばいいのか毎回じっと考えます。からっぽだったアタマに、見ているうちにジワジワと考えが湧いてくるところが、実におもしろいです。少しでもその楽しさをお裾分けできば!→ときの忘れもの(2013.7.1)