大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

今日から夏休みです!

8月は夏休みとすることにしました。勝手にそう決めました。今年前半は一生懸命に仕事したので、この1ヵ月は少し自分に休養を、というわけです。メールのリスポンスがゆっくりになったり、滞ったりするかもしれませんが、お許しください。またこのwebサイトの記事もツイッターもしばらくお休みします。それではみなさま、それぞれの過ごし方で思い出深い夏になりますように。(2012.8.1.)

今月の「書評空間」は普後均の写真集『ON THE CIRCLE』です。

 サークル驚きの写真集です。どこが驚くべき点かは書評空間に書いたのでご覧いただくとして、写真を目指す人にとってこれほど勉強になる本はないでしょう。なぜか? 写真自体もすごいが、構成がすごい。写真の焼きがすごい。写真への考え方がすごい(というか深い)。写真でこれほどのことができるのかという驚き。以前、おなじ「書評空間」で取りあげた長島有里枝さんの『SWISS』と近い感触ですが、小説で言うなら大河小説という印象。写真的語彙の豊富さに瞠目します。写真との付き合いの長さ(つまりは生きてきた時間の長さ)を感じさせる名作です。(2012.7.31)

本日7月26日、アイヴァン・ヴァルタニアンさんとトークします!

土壇場のお知らせになってしまい、すみません。本日、新宿・文化学園講堂にて写真のトークショーにでます。テーマは「日本写真」。それを語るのに、この人ほどふさわしい相手はいません。アパチャーの編集者を経て来日、日本の写真に深い関心を抱き、つぎつぎとおもしろい写真展・写真集・イベントを企画、実行して、日本の写真界をわかせているアイヴァン・ヴァルタニアンさんです。
先日、赤々舎でちらっとお会いしましたが、話したいトピックがつぎつぎと登場、今日のトークショーのためのメールのやりとりでもヒートアップしてます。彼は、日本の写真のなにをおもしろいと感じているのか。欧米の観客は日本写真をどのように見ているのか。またどこにちがいがあると考えるのか。単なるエキゾチズムを超えて、日本写真が世界にでていき、理解されるのには、なにが必要なのか。重要な問題が語られるでしょう!
企画はフリーランスのキュレーター本尾久子さん。 i-love-photography-talk and walkシリーズの一環です。アイヴァンさんの幅広い活動内容についてはGoligaへ。(2012.7.26)

『日和下駄とスニーカー 東京今昔凸凹散歩』、書店に並んでます!

スニーカー_convert_20120720194417『日和下駄とスニーカー』(洋泉社)が発売になりました。
永井荷風の『日和下駄』を片手に、彼の挙げた項目にそって東京の地形を散策。『日和下駄』は荷風が余丁町(現曙橋駅近く)に住んでいたときに書かれたものなので、自然と四谷・曙橋界隈の話題が多くなりましたが、ほかの山の手エリアにも足をのばしてます。ガケベリ散歩と称して上野台地の縁も歩きました。

毎日新聞の連載時は一回の原稿量が少なく、ひとつの項目を何回にも分けざるをえませんでしたが、単行本化にあたっては加筆してひとつづきの文章として読めるように工夫し、写真も足しました。また苦労の作は地図!これまでまともに地図を描いたことがないというのに、使うに足るものを描こうというのですから大変でした。新聞掲載ではまちまちだった表記を統一するのに、単行本のために描き直しましたので、苦心の結果をぜひご笑覧ください。文字通り「ご笑覧」の稚拙さですが、その分あじわいがあるかと……。

ブックデザインは『彼らが写真を手にした切実さを』と同じ五十嵐哲夫さん。表紙には六本木ヒルズの展望台からわたしが撮った写真に、彼が手描きのイラストを配してくれています。ちょっとほかでは見られない斬新な印象。荷風と女性が対面しているシルエット像も彼の作で(女性はわたしか? 足が長くてうれしい)、ジャケットを外すとそこにもチャーミングなイラストが満載、目次にも一工夫あって、手作り感がたっぷりです。

ふだんわたしが行くのは神保町の書店です。さっそくチェックしてみたところ、三省堂では入口を入ってすぐの新刊棚に平積みされており、山がだいぶ低くなってました。もともと低かった、のではなく、売れた結果だと思いたい……。東京堂書店には見つからなくてガクッとしましたが、版元の営業が駆けつけところ、ただいま注文中だそうで、まもなく並ぶでしょう。

本というのはほんとに不思議なものです。いちばん高揚しているのは校了直前で、それが過ぎると筆者として出来ることはなにもなく、気持ちは下降していきます。発売されれば書店に並ぶ姿は見られますが、どう読まれているかはまったくわかりません。あとの楽しみは書評だけですが、福田和也さんがいちばんのりで『週刊新潮』の「世間の値打ち」で取りあげてくださいました。(2012.7.22)

*写真は、30年前にパリからやってきたポポロさんと並んで写る『日和下駄とスニーカー』。右にちらっと見えるのは、ルソーの画からはみでたライオンのしっぽ。

すてきに楽しかった片岡義男さんのカタリココ。

IMG_1908_convert_20120715165101.jpg片岡3_convert_20120715165226会場の古書ほうろうに片岡義男さんが到着したのは、開演15分くらい前でしょうか。お店に入るなり、棚をきょろきょろと見まわして「いい店ですね!」
この一言で今日のトークはうまくいきそうだと思いました。
片岡さんはそのご著書のなかで、ご自身の作品について丁寧に考えを述べています。実に理路整然と客観的に。読めばだいたいのことがわかるし、質問の答えも想像できてしまうほど。しかもトークの発言はいつも明快で、断定的で、意見をはさみ込む余地がないのです。どうしたらおもしろいトークにできるだろうと、ここ二日ほど悩んでました。
筋道を立てすぎると失敗します。相手がそのラインにのってこないと、こちらの態勢が崩れてしまうのです。かといって、ぶっつけ本番で望んでもおもしろくないのは、こと片岡さんにおいては明らかです。ぶつけるものを用意してないと会う意味がないのです。
そのへんの兼ね合いがもっともむずかしい点で、いつもトーク前半では相手の信頼を得て何でもぶつけられる状態をつくりだすのに気を配るのですが、この夜はなんというか最初からリラックスした関係ができているような感じがしました。きっと好きな本たちに囲まれて片岡さんの気持ちがひらいていたのでしょうね。開演ぎりぎりまで1950、60年代の『映画の友』を箱から引っ張りだしてらっしゃいましたから。
終わって「今日はしゃべりすぎたなあ」と笑ってらっしゃったほど、よく語ってくださいました。でも私がもっとも印象的だったのは、文章のなかで出会う片岡さんがすみずみまで意識が行き渡った存在であるのに対し、生身の片岡さんがノンシャランでどこか茫洋とした雰囲気を持っていたことです。まるで自分を放し飼いにしているかのよう。彼のなかには意識的な自己と放し飼いにしている自己が共存していて、書く段になるとふたつを一気にたぐり寄せ、フィクショナルな状態にもっていくのでしょう。その落差に、作家片岡義男の秘密があるように感じました。片岡2_convert_20120715165416
終わって残ったお客さんたちとお店で打ち上げをしたのですが、そのあいだも片岡さんはすぐ横の棚(ちょうど音楽関係の棚でした)に目をはわせ、すっすっと本を抜いてはテーブルに積み上げていきます。家にあるんだけど、買ってしまうね、と言いながら。(2012.7.16)



『東京人』8月号は地形特集です!

東京人_convert_20120705175632『東京人』が地形を特集したのははじめて。地図がたくさん載っていて充実してます。わたしも直線コースで七つの丘を踏破するルートを考え、実際に歩いて原稿を書きました。さて、どこからどこへのルートでしょう!
 ずっと前から地形、地形と言ってきましたが、「ブラタモリ」のおかげで地形が認知されてきたのは、うれしいかぎりです。あと1週間もすれば、毎日新聞の連載をまとめた『日和下駄とスニーカー』も発売になるはず。ますます地形歩きに弾みがついてくるこのころです。先日は残り3回となった新聞連載のために、大田区山王の界隈を歩いてぶったまげました。もうすごいのなんのって。『東京人』12ページ掲載の色分け地形図を確認したところ、まるでゴジラの背中についているあのぎざぎさを模したかのような複雑さ。これはもう歩いてからだに刻む込むしかないです。
ところで、地形フェチは男子ばかりで女子が少ないのは、どうしてでしょうね。(2012.7.5)

「書評空間」の6月分をアップしました!

言葉を生きる毎月末に1本は掲載すると宣言しつつも、このところ余裕がなくて書けなかった書評空間を久々にアップしました。取り上げたのは片岡義男さんの『言葉を生きる』です。7月14日に彼をゲストに迎えてのカタリココがありますが、この1冊のなかにも話題にしたいことが満載。先週には短編小説集『恋愛は小説か』が発売されたし、4月に出た写真集もあわせて三役そろい踏みといった感じです。期せずしてタイムリーなトークとなりそうです!参加なさる方はぜひ予習を!(2012.7.2)