大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

今年最初の「書評空間」はこれです!

「書評空間」は今年からツキイチにし、月末アップに決めました。1月分をいま更新。取りあげたのは山内明美著『こども東北学』(イースト・プレス)。私にとって非常に共感できる、切実さの伝わってくる一冊でした。→書評空間

2012年のカタリココ

■5月9日(水)18時半開場/19時開演
ゲスト 祖父江慎(フラフィックデザイナー)
予約  4月9日(月) 13時開始 定員50名
会場  ボヘミアンズ・ギルド

「絵でも言葉でもないブックデザイン。小さなこだわりと奇抜な発想でブックデザインという世界の幅を広げ、その枠組みを軽々と乗り越えていった祖父江慎。その源は、作品に対する“うっとり力”だという。祖父江さんの“うっとり”は、一体どこからくるのだろう(KN)

祖父江慎(そぶえ しん)1959年愛知県生まれ。多摩美術大学グラフィック科在学中、工作舎でアルバイトをはじめ、その後多摩美を中退。1988年からフリーで活動をはじめ、1990年にコズフィッシュを設立。1996年にさくらももこ「神のちから」で日本書籍出版協会理事長賞を受賞。1997年には、杉浦茂「杉浦茂マンガ館」で講談社文化賞ブックデザイン部門受賞。また、2003年には「ミステリーランド」シリーズで、第38回造本装丁コンクール展・文部科学大臣賞受賞。小説からコミックスまで、幅広いジャンルのブックデザインを手掛ける。

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■7月14日(土) 18時半開場/19時開演
ゲスト 片岡義男(作家) 
予約  6月14日(木) 13時開始 定員50名
会場  古書ほうろう


「出会いは、中学生の頃買った赤い背表紙の角川文庫。以来、ぼくの興味の赴く先にはいつも片岡さんがいました。たとえば植草甚一、広瀬正、安田南。あるいはモノとしての本や東京の街。今回の大竹さんとの対談では、そんな汲めども尽きぬ片岡さんの新たな魅力に触れられるのではと期待してます」(KM)

片岡 義男(かたおか よしお)
1940年、東京生まれ。早稲田大学在学中、「マンハント」にてコラムの執筆や翻訳をはじめる。「宝島」編集長を経て、1975年『スローなブギにしてくれ』で野性時代新人文学賞受賞。代表作に『ぼくはプレスリーが大好き』『ラハイナまで来た理由』『日本語の外へ』、近著に『木曜日を左に曲がる』(左右社)『僕らのヒットパレード』(国書刊行会/小西康陽との共著)がある。近年は東京を題材とした写真集も多い。餃子好き。

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■9月30日(日) 16時半開場/17時開演
番外編「読書会」
ゲスト 平田俊子(詩人)
予約  8月30日(木) 12時開始 定員30名
会場  ブックギャラリー・ポポタム

「今年のポポタムは趣向を変えて、番外編の「カタリココ読書会」。ゲストとホストがそれぞれ小説作品を選んで討論します。ゲストは昨年のカタリココで大竹さんと見事なかけ合いを披露してくださった作家・詩人の平田俊子さん。お題は、室生犀星『蜜のあわれ』(講談社文芸文庫)です。ホストの大竹さんからは、アニー・エルノー『シンプルな情熱』(ハヤカワepi文庫)を。ともにやわらかな語り口のお二人が、研ぎすまされた言葉でエロスあふれる二つの作品をどのように語ってくれるのでしょう。もう、いまからドキドキしています」(大林えりこ)

平田俊子(ひらた としこ)
1955年島根県生まれ。現代詩新人賞受賞後、1984年詩集『ラッキョウの恩返し』(思潮社)を上梓。『ターミナル』(1998年晩翠賞受賞/思潮社)、『詩七日』(2004年萩原朔太郎賞受賞/思潮社)、『宝物』(書肆山田)など詩を中心に、戯曲・小説・随筆も発表。2005年に小説『二人乗り』(講談社)で野間文芸新人賞受賞。『スロープ』『殴られた話』(ともに講談社)『私の赤くて柔らかな部分』(角川書店)、『きのうの雫』(平凡社)など著書多数。月刊誌『なごみ』(淡交社)にエッセイ「気がかりな町」を連載中。

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■12月8日(土) 18時半開場/19時開演
ゲスト 鬼海弘雄(写真家)
予約  11月8日(木) 13時開始 定員40名
会場  茅場町の貸会議室 (森岡書店ではありません、お申し込み時にお知らせいたします)
森岡書店にて同時開催:鬼海弘雄写真展 12月3日(月)ー15日(土) 日曜休

「鬼海弘雄さんは昨年、東京都写真美術館において、浅草に集う人々のポートレイト「PERSONA」と「東京」の街のポートレイト「東京迷路」「東京夢譚」から約200点の作品を一同に展示しました。「東京」を写すことは鬼海弘雄さんのライフワークといえます。一方、大竹昭子さんは文筆家として「東京」を舞台にした「図鑑少年」「ソキョートーキョー」を著しています。また写真も撮られて、今秋には「東京」の街を写した写真展を行います。鬼海弘雄さんと大竹昭子さんが対面するのは、今回が初。それぞれの視点から見た「東京」のイメージとは。森岡書店で同時開催する鬼海弘雄写真展も是非あわせてご覧ください」(YM)

鬼海弘雄(きかいひろお)
1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学学科卒業後、トラック運転手、マグロ漁船乗組員など様々な職業を経験。ダイアン・アーバスの写真と出会い、衝撃を受け写真家に。その後、浅草の人々のポートレイトを40年以上撮り続けている他、インディア、アナトリアでの撮影もライフワークのひとつとなっている。写真集に、『王たちの肖像-浅草寺境内』『INDIA』『PERSONA』『アナトリア』など多数。

料金は全回共通1500円です。

第7回「ことばのポトラック」の義援金の報告

土曜日におこなわれた5時間半のポトラック、義援金もたくさん集まりました!入場料から会場経費を引いた額が45,000円。出版社から寄付いただいた本の売り上げが43,000円、締めて88,000円が集まりました。これまではその金額をプールしてましたが、今回は畠山さんにお願いし、お姉さまが勤めていらっしゃる陸前高田の広田小学校に受けとっていただくことにしました。プール金から12,000円を足して10万円をお送りする予定です。
高台にある広田小学校は流されませんでしたが、児童のなかには被災した子供たちがいます。彼らに必要なものを購入する資金にしたり、遠足代の補助などに役立てていただこうと思います。畠山さんの話によれば、被災地の学校はそれぞれ義援金の口座を持っているそうですので、大きな団体に送るよりも、直に役立てていただけるそうした場所にお送りするのは一案だと思いました。
学校には本も届いているそうですが、図書館のある学校では棚からあふれて置くことができず、被災したところでは図書室そのものがなくて置けない状態だそうで、はやり物を送るには慎重でなければならならないとも感じました。
本のチャリティーに参加いただいた小学館、青幻社、美術出版社にこの場を借りてお礼を申し上げます。また東京都写真美術館は展覧会の招待券をご寄付くださり、本をお買い上げの方にそれを差し上げました。ありがとうございました。(2012.1.25)

明日、六本木ABC で会いましょう!

1月24日午後7日半から六本木ABCで仲俣暁生さんとトークします。仲俣さんの最新刊『再起動せよと雑誌はいう』は雑誌について考えた書。わたしの新刊は『読むとだれかに語りたくなる』という単行本の書評エッセイ。ジャンルを超えて関心の網にひっかかったものを取りあげているのが共通してます。活字の力、読むことの魅力を熱く語る場になるでしょう! 予約は不要。ふらっとお立ちよりください!(2012.1.23)

「レンズ通り午前零時」第13回が掲載されました!

「レンズ通り午前零時」は毎月15日更新、1月分がすでにアップされているのにお知らせするのを忘れてました。今回は「人影」についてです。ふだんは風景のなかに人が入るのを好まなかったわたしが、思わず近よってシャッターを切った人物の視線の先には、なにがあったのか?→ギャラリーときの忘れもの

5時間に及んだ畠山直哉さんとのトークショー!

トーク引き

















昨日の畠山直哉さんとのトーク「ことばのポトラックvol.7」は、午後1時過ぎにはじまり、終了したのは6時! 途中2回の休憩を挟んで5時間に及ぶ前代未聞のトークイベントとなった。会場は暖房を切って空調に入れ替えてもまだ観客の頬がほてっているほど暑く、外の冷たい雨のことなど忘れてしまうほどの熱気だった。
一晩たったいまも、まだ頭のなかをさまざまな言葉や考えがグルグルと旋回している。充実したトークのときほど、あのことをもう少し話したかったという思いが残るが、昨日も同じである。畠山さんとは昨年10月に2回行い、それでは足りなくて昨日の場をもうけたというのに、それでもまだ話つづけたいような気がしている自分に驚いてしまう。
ベースのところで深い信頼を置ける表現者はそう数多くいるものではないが、畠山直哉さんはわたしにとってそうしたひとりである。彼の率直さ、簡単に答えに飛びつかない態度、思考の深さ、粘り強さなどは、どのような疑問も考えも躊躇なくぶつけられる安心感へとつながる。すばらしい場を生み出してくれた彼に深く感謝したい。
畠山さんは震災以降、「いい写真」という言葉が空疎な響きしか持たなくなったいい、昨年写美でおこなわれた「ナチラルストーリーズ」展では、そう感じた自分を差しだすしかないと決めて、被災前と後の故郷・陸前高田の写真を展示に含めた。故郷にある石灰の山が出発点の「ライムワークス」ではライフストーリーを強調しなかった彼が、陸前高田の写真を自分の故郷というだけを理由に展示に含めたのだ。
この決断の重みを、これまでの2回では充分に理解していたとは言えなかったことに、昨日トークが終わって気がついた。言葉ではわかっていても、その勇気を感覚的に理解しえていなかったのは、わたしがある基準をもって創作活動を行ってこなかったせいかもしれない。わたしは大学は一応出たものの、そこでの教育を足場に表現を模索してきたわけではなく、無手勝流に、感覚的に、手探りしてきた。仕事の内容がいろいろなジャンルにまたがるのはそのためだろう。
それに反して彼は大学で受けた教育や出会った写真家の影響をもとに、もっと緻密に周到に写真表現を考え抜いて作品をつくってきた。そのことは彼の写真を見ればただちにわかるだろう。動員されている知性や思考の量が半端でないのだ。
そうやって組み上げてきた足場をいったん下りる覚悟で、昨年の展覧会は行われた。反響はどのようなものか、新たにどんな状況が生み出されるのか、またそれに自分はどう巻き込まれていくのか、不安は大きかったはずである。
震災前の写真は人生との関係を想像せずにおかないが、だからと言って彼はライフストーリーに基づく写真のスタイルにシフトしたわけではない。そのことは昨日も何度も強調した。既存のものへの移行ではなく、自分の足場を守ろうとする態度への No!だった。震災によってそうせざるを得ない状況に運び去れて、身を投げ出すことで未曾有の事態とむきあおうとしたのだ。
昨年、わたしは『彼らが写真を手にした切実さを』という本を書き、人生に起きた出来事を手がかりに写真を撮っていく写真家の仕事を追った。彼らの写真のありようは生きることの切実さと深く結びついており、その特徴を「日本写真」として括ることで浮き立たせてみようと試みた。
だが、わたしはライフスストーリー派(と仮に呼ばせていただくなら)の写真こそが写真表現の真骨頂だと考えているわけではない。そうでなければ畠山さんと3回もつづけてトークをするはずがない。問題は彼のような理性的な写真とライフストーリー派の写真のあいだに線引きがされていることなのだ。ひとつの考えが壁のなかに押し込められ、行き来できない状態に置かれることに、息苦しさを感じてしまう。
表現活動にはスタイルの模索という局面がある。立ち位置の確立と言い替えてもいいが、それが明確になると世間の認知度も上がる。その一方、スタイルが固まり独り歩きすると作品の生命は失われる。概念やジャンルやイデオロギーなどもおなじで、固定化の方向にむかうと失速の運命は避けられない。それはこの世に不動のものはなく、つねに動き流動するところに生命の本質があるからだ。人はそれを本能的に知っており、芸術表現にその波動を見いだそうとする。????±±_convert_20120122174410
昨日の畠山さんのトークでみんなが熱くなれたのもおなじ原理のように思えてならない。写真展に震災の写真を入れようという決断そのものに生命感を受けとった。自分がこれまで立っていた場所を絶対化せず、そこを離れてみようという覚悟のなかに、未知のものに立ち向かうエネルギーを感じたのだった。わたしも自分の現場においてそのように生きてみたいと思う。(2012.1.22)

『読むとだれかに語りたくなる』がらみのあれこれ

次の日曜日〔15日)に東京FMの「トランスワールド・ミュージック・ウェイズ」で『読むとだれかに語りたくなる』のインタビューが放送されます。「大竹昭子の読書術」というタイトル。「術」と言えるほどのものはないですけど、わたしにとって読書はどういう体験なのか、というようなことをお話したように思います(12月に録ったので記憶が曖昧……)。昨年毎月のように足を運んだサラヴァ東京で収録しました。放送時間は朝5時、と聞くとめげるかもしれませんが、早朝型の方はぜひどうぞ。
また現在発売中の『クロワッサン』では著者インタビューのコーナーで取材を受けました。ぜんたいテーマは「学ぶ」。わたしは学校は嫌いですけど、学ぶのは嫌いじゃないかもしれない。本からもいろんなことを学んでます。知識ではなく、考えるヒントを。(2012.1.12)

1月14日、写美で写真家の北野謙さんとトークをします!

北野さんの作品は、1枚の印画紙に10数人の人物を重ね焼きして作られます。現在、東京都写真美術館で開催中の「写真の飛躍」にはアジアで撮影した人物像の等身大のプリントが出品されています。
写真は実在するものが写るのが特徴で、これらの写真が生まれるには生身の人間が必要ですが、出来上がったときに目に見えるのは、写真のなかだけで会える実在しない人物である点が実に興味深いです。
北野さんは写真を撮りはじめたころから、スナップショットではなく、スローシャッターに興味があったと言います。さまざまな可能性を秘めた写真というメディアを自分の関心にそって切り開いてきた道程について伺ってみたいです。入場無料、予約も不要ですので、写真展を見がてらぜひどうぞ。1階アトリエで午後3時からです。(2012.1.10)

コンタクトシートは手稿に似てる。

コンタクトシート『マグナム・コンタクトシート』という大部な写真集が出た。マグナムの写真家のコンタクトシートを原寸大で作品写真とともに掲載したもの。写真家の言葉も載っている。2月号の『新潮』にこれについてエッセイに書いた。驚くほど生々しい。写真家の手の動きや暗室のにおいまでもが伝わってくる。手稿や絵のスケッチもそうだが、人間の手の動きが出ているものはどうしてこうなのだろう。見るもののツボを刺激する特別な成分が含まれているかのようだ。(2012.1.8)

2012年 あけましておめでとうございます

R0011857_convert_20120103133535.jpg むかしはお正月というと店が閉店して繁華街もひっそりしていたものですが、昨今では三が日こそが書き入れ時なのでしょうか。昨日新宿に出たら駅ビルはセールだらけですごい人出! これはまいったという感じで、前から見たいと思っていた映画を一本見ただけで早々に退散しました。
見たのは「瞳は静かに」というアルゼンチン映画です。昨年、カタリココにご出演いただいた星野智幸さんのツイッターで知りました。いい映画でした。正月のばかばかしい雰囲気はあまり好みではなく、テレビも一切見ないので、しばらく御無沙汰していた映画の世界に浸れたのは心落ち着くひとときでした。
 2011年は時間の進み具合、心の整理の仕方、感情の収め方など、なにをとってもこれまで体験したことのないものに直面した気がします。忙しい1年でもありました。今年は自分らしいペースで進んでいきたいものです。
 昨年は『彼らが写真を手にした切実さを』と『読むとだれかに語りたくなる』(長いタイトルに自分でもよく言いまちがえます……)の2冊を上梓いたしましたが、今年はまずは毎日新聞の連載「日和下駄とスニーカー」を加筆してまとめたいと思ってます。そのためには東京の街歩きをもっと徹底しなくては!
 もちろんカタリココもします。「ことばのポトラック」を本にして出版もします。それと秋にギャラリーときの忘れもので写真展をすることも忘れてはいけません! はじめてポートフォリオなるものを作るのでこれはなかなか大仕事です。またもや忙しい一年になりそうな気配……。でも「自分のペースで」と心のなかで唱えつつやっていきましょう。
 最後になりましたが、お年賀状をいただいた方々、ありがとうございました。ご返事もださずにすみません。無粋で恐縮ですが、webのごあいさつにて代えさせていただきます。(2012.1.3)