大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

今年最後の「書評空間」はこの本です!

伊藤礼著『大東京ぐるぐる自転車』(東海大学出版会)。自転車乗りと都市探訪が一緒になった痛快なエッセイ集。前回のこの欄、小石川植物園の文章でもちょっと触れているように、日頃よく歩いている場所も登場します。目下、歩行に惹かれているわたしですが、距離をのばすには自転車も捨てがたい……。→書評空間

小石川植物園がこんなにすばらしいなんて!

?°????????????????JPG_convert_20111224184216昨日は寒すぎて歩く気になれず、6月にとなりから移って以来、手付かずになっていた仕事部屋の片づけに時間を費やしたが、今日は暖かいので街歩きをした。このところ何回かつづけて小石川を歩いている。「日和下駄とスニーカー」でいよいよこの界隈を取りあげようと思っているのだ。言わずと知れた荷風の生誕地。「伝通院」や「狐」に描かれている。
伝通院には2回つづけて行ったので今日は千川通りを渡って小石川植物園へ。前回訪れたのはだいぶ前だ。お稲荷さんの狐を探訪していたころ、植物園のなかにお稲荷さんがあるのを知って出かけた。十数年はたつだろう。
今日、小石川植物園に行こう思ったのは、荷風のこともあるが、伊藤礼氏の『大東京ぐるぐる自転車』の影響も大きい。そのなかにここの地形の話がでてくるのである。伊藤氏の著作は自転車ものしか読んでないが、これぞ読書の愉悦。ページが減っていくのが惜しくてたまらない、めったに出会わない私好みの文章なのである。
閉園1時間前だったので園内はがらがらだった。いや、いつもそうなのかもしれない。木々のむこうにときおりぽつんと現れる程度で人影は薄く、その代わりに植物のさざめきが圧倒している。すばらしい。こんなところだったら、もっと早く来ればよかった。わが四谷には新宿御苑がある。たぶん同じくらいの広さだが、どちらかをあげると言われたらこちらを所望しよう。植物が種類ごとにまとまっているのがおもしろい。野趣がたっぷりで散策路などに手をかけすぎてないのがいい。もちろん伊藤氏も指摘するように地形も魅力的。また来よう。(2011.12.24)

『ユリイカ』石川直樹特集号に書きました。

原稿を書いたのは8月の休暇に入る直前だった。もうこれだけ書けば日本を脱出できると残りの締め切りを数えつつがんばっていた矢先の原稿依頼……。正直なところがくっと来たが、断ろうとは思わなかった。石川直樹についてなら書いてみたい。比嘉康夫、内藤正敏、星野道夫、と写真を撮りながら民俗学的領域にどんどん入っていき、その世界の専門家を驚かすような仕事をした写真家がいた。石川もそれに近い。まず見てみる。そこから思考の水路を掘る。掘り進むうちに既成の壁が壊され、新しい地平が開かれる。そのありようがとても写真家っぽい。そういうことを書いた。(2011.12.20)

「レンズ通り午前零時」第12回目が掲載されました!

「ミートパッキング・エリア(精肉地域)」という当時の名前のまま、いまはファッショナブルに生まれ変わったニューヨークのハドソン川沿い。路面の崩落によって閉鎖されたウエストサイド・ハイウェイの姿に惹かれてよく歩いた。廃虚や残骸に心が動いてしまう傾向はまちがいなくあの時期のあの街でつくられたといまになってわかる→レンズ通り午前零時(2011.12.18)

第7回「ことばのポトラック」は写真家の畠山直哉さんにご登場いただきます。

<ことばのポトラック vol.7>  
「ふるさとと写真」スライドショー&トーク

写真家の畠山直哉さんは、昨年秋、東京都写真美術館で個展を開催されたとき、当初は予定していなかった故郷・陸前高田の写真を展示に加えました。大震災がなければ発表されることのなかったこれらの写真群は、「写真とは何か?」という本源的な問いを私たちに突きつけます。陸前高田の写真を上映しつつ、この数ヶ月間に彼が写真を巡って考えてきたことを語り合います。(企画・大竹昭子)

出演:畠山直哉 × 大竹昭子(トーク)
   管啓次郎(特別ゲスト・詩唱)
日時:2012年1月21日(土)13時~ 終了しました
場所:サラヴァ東京
料金:2000円(ワンドリンク付き)
予約開始:12月12日(月)
     サラヴァ東京HP http://www.saravah.jp/tokyo/予約フォーム
     電話 03-6427-8886 


畠山直哉
写真家。1958年岩手県陸前高田市生まれ、東京在住。84年筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。97年第22回木村伊兵衛賞受賞。2001年第49回ヴェネチア・ビエンナーレ(日本館)参加。写真の「科学性」を重要視しながら、自然・気象・人間などのテーマを精緻な写真表現に結実させて世界的な評価を得ている。近年の主な個展に07年「Draftsman's Pencil」神奈川県立近代美術館鎌倉館、11年「ナチュラル・ストーリーズ」東京都写真美術館。著書に、写真集『L IMEWORKS』(1996)、『A BIRD』(2006)、講演集『話す写真 見えないものに向かって』(2010)など多数。

11月の「ことばのポトラック」が2回にわたって放送されます。

東京FM「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」では、「ことばのポトラック」を初回から放送してくださってますが、今週来週は11月の「東北を想う 東北を歌う」が2回にわたってオンエアされます。前編は3人の詩人の朗読と御厨貴さんも加わってのトーク、後編は佐々木幹郎さんと高橋竹山のデュオと竹山さんの迫力あるソロ・ライブ。あの日に逃してしまった方、参加なさった方、ぜひどうぞ!

「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」
第6回ことばのポトラック<東北を想う、東北を歌うーー詩の朗読と津軽三味線ライブ>前・後篇
出演:谷川俊太郎 高橋睦郎 佐々木幹郎 御厨貴 高橋竹山 大竹昭子
12月11日&18日(日)5:00~5:45 TOKYO FM&radiko.jp
12月10日&17日(土)28:00~29:00 K-MIX(FM静岡)

街歩きが加速しはじめました!

??????_convert_20111207161529夏の終わりに足をケガしてから、散歩の調子がいまひとつで、痛いわけではないけど1時間ほど歩くと帰りたくなることが多かったのですが、11月後半あたりからがぜんリズムがもどってきました。完治に3ヵ月かかると医者に言われてたんですけど、指折り数えると、ちょうどそのころが完治の時期だったんですね。もういくら歩いても大丈夫!週末になると、「日和下駄とスニーカー」(毎日新聞・日曜版連載)のために、つるべ落しの陽ざしと競うようにして歩いてます。
永井荷風は『日和下駄』のなかで散歩の項目を11個あげていますが、それをひとつずつ制覇して、いまは「路地」の編。先週末には高輪を歩きました。あのお屋敷町に路地があるのかって? それがあるんです!しかも魅力的なのがたくさん。地下鉄南北線が通るまで、交通の便がよくないために、特に高輪の桜田通りの側に古い住宅地が手付かずに残っていたことが大きな理由です。いまそこに再開発の手が延びており、以前から気に入っていた路地がまだあるかだろうかと不安を覚えつつ行ったところ、ありました!
路地が多いのは、起伏の多いエリアで台地から谷に下りて行くのに通路が必要だからです。車の通れる坂道の数は限られているので、台地の際に建っている家の人が坂道を迂回しなくても谷に下りられるように、家と家のあいだに路地が設けられたわけです。階段状のものが多く、人ひとりがようやく通れるほどの幅。こういう路地を見つけて、通り抜けられるだろうか……と案じつつ入っていくときの興奮といったら、何にもかえがたい特別なものです。さて、高輪で路地歩きをしたあと、日没前にどうしても行きたいところがありました。勝本みつるさんが、10月まで住んでおられた場所で行った展覧会の最終日だったのです。地下鉄で都心を横断して巣鴨へ。
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巣鴨と言えばとげぬき地蔵で有名で、和風のイメージがありますが、建物があったのはそれとは反対側の染井霊園の近くで、周囲には樹木が多く、黄色く染まった銀杏の木が夕陽に光るのを見とれるうちにそこにたどりつきました。
築75年の洋風の集合住宅で、天井が高く、窓やドアやその把手やクローゼットなど、すべてのものがじっと見入ってしまうほどのおもしろさ。そこに配された勝本さんの作品は、まるでその空間から生えてきたように感じられました。床に置かれたモスグリーンの毛皮につつまれた丸い鏡なんて沼のようで、その鏡のなかが地底につながっていてもおかしくないし、クローゼットの扉の奥は、『スケートをはいた馬』のお話さながらに、別の場所に通じているかのようでした。こういう部屋に住んだら、私も書くものが変わってくるかもしれないと思うほど、空間の圧倒的な力を感じました。
ここに挙げた写真2点は、ひとつは高輪の路地で、もうひとつはその館ですが、東京とは思えない感じがします。周囲を切り落としてそのものだけを浮かび上がらせる写真の魔法ですね。(2011.12.6)

「購入可」になりました!

前回の欄で「『北沢恒彦とは何者だったか?』は紀伊国屋書店のブックウェブで買えます」とお知らせしましたが、システムの不備でウェブに接続してなくて、看板に偽りあり、の状態でした。ごめんなさい。今朝、確認したらリンクしてましたので、もう「購入可」です。チェックしてあれっと思った方、ぜひどうぞ!→書評空間

11月の書評空間では『北沢恒彦は何者だったか?』について書評しました!

4月に「毎日新聞」日曜版で週刊連載がはじまって以来、書評空間の投稿の頻度がぐっと落ちてしまい、一度も更新できない月もでてしまいましたが、なんとか月イチのペースを維持したいと心を入れ替えています。11月はぎりぎりの30日に『北沢恒彦は何者だったか?』について書きました。作家の黒川創氏が実父の起伏ある人生を、周囲の人々のインタビューを通じて浮かび上がらせた非常にユニークな本。黒川さんの自伝的小説『もどろき』を読んでいたので、興味をもって手にとりましたが、人が生きていくことの深淵さを実感しました。
編集グループSUREからの出版で、ふつうの書店では買えませんが、紀伊国屋ブックwebからは購入できるよう手配いたしましたので、ぜひご一読ください! 私の今年のベストに入ります。→書評空間