大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

3月の「書評空間」では以下の本を書評しました。

■『Showa Style-再編・建築写真文庫<商業施設>』都築響一編(彰国社)
北尾春道が17年にわたって取材・撮影・編集した『建築写真文庫』を都築響一が再編。よみがえる昭和のビルや商店や看板やインテリアに感涙。写真で見るから懐かしい? その通り。写真の謎ここにアリ。
■『フランク・ロイド・ライトの呪術空間』草森紳一(フィルムアート社)
建築と人間をテーマに掲げ、「有機建築」を目指したライトの建築空間は、実際に体験するとどんな感じのするものなのか。ライトの建築ツアーに参加した草森紳一が、「呪術空間」に見立てて論じる、異色のライト論→書評空間

3月27日,緊急イベント「ことばのポトラック」を開催します!

地震被害による悲しみと不安を突破するのに、いま私たちの心が欲しているのは、情報や状況説明以上に、心を強くしてくれる詩の「ことば」のように思います。緊急に詩人、歌人、作家、歌手の方々が「ことば」をもちよる「ことばのポトラック」を企画しました。さいわい、短時間のうちに多くの方が出演を名乗りでてくださいました。自作詩、翻訳詩、短歌、歌唱など、さまざまなかたちの凝縮した「ことば」を身に浴びて、心の灯をともしましょう。家でひとりで妄想にかられて不安がるより、いまを生きる力をシェアしあう場を!という思いを込めた<カタリココ>番外編です。(2011.3.21)

次回のカフェ・カタリココの予約開始しました。  

4月17日、四谷三丁目の喫茶茶会記にて精神科医・作家の春日武彦さんをお迎えしておこないます。春日さんのお話を伺える機会はそう来るものではありません。ぜひお見逃しなく。詳しくはカフェ・カタリココの欄をご参照ください。

会った瞬間にいろんなことが腑に落ちた!

2010_0317_018_convert_20100318223742.jpg昨夜はナディッフアパートの上にあるマジックルーム???で岡田敦さんとのトークショーがありました。カフェ・ラウンジで深々したソファーに座って、いつものトークショーとはちがう雰囲気ではじまりましたが、ちがったのはそれだけではありません。相手の岡田さんがこれまで体験したことのないほど寡黙な方だったのです!
とても意外でした。木村伊兵衛賞を受賞した『I am』はリストカットしている人々がカメラの前で傷口や裸体をさらけ出した社会性の強い作品で、そこから想像したのは、社会にむかって何かを語ろうとする写真家の姿でした。ところが目の前の岡田さんはあまり物を言わない。もちろん質問には答えてくださるのですが、とてももどかしそうにゆっくりと話し、まるで別の時間を生きているような雰囲気なのです。その姿に接してさまざまな謎が一気に解けました。
 『I am』は自傷行為という社会問題が撮られているので、写真で何かを訴えかけようとしているように見えますが、そうではない。彼は理解を超えたものに撮りながら向き合い、自己の内部に化学変化を起こさせようとしたのです。
 最新刊の『Ataraxia』(青幻舎)はひとりの女性が自然の風景に融和していく至福の感覚を映像化した写真で、前作とまったく趣がちがいますが、自分を問おうとする意識の強い作家であれば、当然ながら内的世界の探求にも関心が向くでしょう。それが結実したのが『Ataraxia』であり、ふたつはいわば表裏一体の関係にあるのです。
 生身の人間に会うことの説得力をこれほど強く感じたのははじめてでした。終了後、近くで打ち上げをしましたが、そこでの岡田さんはトークのときよりは少し饒舌で、目をきらきらさせてとても楽しそうでした。
(2010.3.17)

3月17日、写真家の岡田敦さんとトークをします!    

■岡田敦さんが写真集『I am』で木村伊兵衛賞を受賞したのは2年前。現代社会で生きにくさを感じている若者たちを正面切ってとらえた力強い写真集でした。今回刊行された写真集『ataraxia』(青幻舎)には、一見したところそれとは別の世界が開示されているようですが、同じ作家のなかから出てきた作品ですから、ぜったいにつながっているはず。岡田さんとちゃんとお話をするのは今回がはじめてなので、どんなトークになるのか楽しみです。

■岡田敦×大竹昭子トークイベント
 場所:MAGIC ROOM???(恵比寿・ナディッフアパート4階)
 日時:2010年3月17日(水)18時半~20時 終了しました
 料金:500円
 問合せ先:ナディッフアパート 03-3446-4977
 予約:青幻舎 iwaki@seigensha.com

website:MAGIC ROOM???/ ナディッフアパート

現在、ナディッフアパート1階ウィンドウギャラリーと4階のMAGIC ROOM?? で写真展開催中。
 3/10~18 MAGIC ROOM??  
 3/10~31 ナディッフアパート1階ウィンドウギャラリー

10年前に書いたささやかな文章が運んできた出会い

 1998年、新聞で新刊をセレクトしてコメントするコラムを連載していた私は、書店の平台に並んでいた『ブルックリン』という詩集に目を留めてすぐに買い求めました。ふだんは詩集のよい読者とは言えないのに迷わずそうしたのは、よく知っているニューヨークの街がタイトルになっていたこともありますが、写真をあしらった一見何の本かわからないような装幀にとても惹かれたのです。こういう詩集を出す詩人の詩はおもしろいにちがいない……。感は大当たりで、五感をくまなく刺激する活きのいい言葉たちに感動し、原稿は即座に仕上がりました。これが宋敏鍋さんの詩との出会いです。でもご本人を知るのはまだ先です。
?昨秋の小池昌代さんをゲストにおむかえしたカタリココの場で、終了した後残っていらした男性客のおひとりがつかつかと歩み寄って来ました。「宋敏鍋です」。「えっ、宋さんってあの詩人の宋さんですか!」。彼は岐阜在住なのを知ってましたし、まさかカタリココのことをご存じとは思いもよらなかったので驚きました。小池さんのご案内で開催を知り、ぜひあのコラムのお礼を言いたいと足を運んでくださったのでした。
 昨日の宋さんをお迎えしてのカタリココは、この日の出会いによって実現しました。高校時代に英検1級を取得、英語には絶対的自信を持ってニューヨークに乗り込んでいったのに、ブルックリン・イングリッシュにそれを打ち砕かれて自信喪失したこと、それでも手術前の患者さんに言葉で語りかけることで彼らの緊張をやわらげられると知って、あらためて言葉の力を実感し詩作に励んだことなど、興味深いお話が彼の詩と同じリズムと活力をともなってつぎからつぎと飛びだします。アメリカの医者たちは手術をすることを「手術室に行く」と言い、患者に対しても「手術をしますか?」ではなく「手術室に行きますか?」と問うというお話も、「手術室」という詩をより深く味わう助けになりました。10年前に書いたささやかな文章が連れてきてくれた出会いに深く感謝した午後でした。(2010.3.14) 

3月17日、写真家の岡田敦さんとトークをします!    

岡田敦『Ataraxia』(岡田敦さんが写真集『I am』で木村伊兵衛賞を受賞したのは2年前。現代社会で生きにくさを感じている若者たちを正面切ってとらえた力強い写真集でした。今回刊行された写真集『Ataraxia』(青幻舎)には、一見したところそれとは別の世界が開示されています。でも、同じ作家のなかから出てきた作品ですから、ぜったいにつながっているはず。岡田さんとちゃんとお話をするのははじめてなので、どんなトークになるのか楽しみです。詳しくは<その他のイベント>をご覧ください。   

写真:『Ataraxia』(青幻舎)より

草森紳一記念館の「目玉の人」第6回掲載。

前回にひきつづいて「『カメラ毎日』の時代」その2は、世間をあっと言わせた立木義浩の「舌だし天使」が一挙掲載されたいきさつについてです。編集者が独断で掲載を決め秘密裏に印刷した56ページ分を本誌に合体! 現代では考えられない暴挙ですよね。それに解説を書いたのが草森紳一で、それ以降写真の世界にずぶずぶと引き込まれていきます→草森紳一記念館