大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

これからのカタリココ

2020年のカタリココについて

本来ならば2020年のカタリココのラインナップを発表し、チラシを配布しはじめている時期なのですが、コロナウイルスの感染拡大が進んでおり、先の見通がたちません。しばらくこの状態がつづくのではないかと思うので、状況が落ち着きましたら10月から12月にかけて3回おこなう予定です。ですので、今年はチラシは作らず、開催することになったらまずこのサイトでお知らせし、SNSで広めることにいたします。ゲストの方々はすでに決まっておりますので、どうぞそのときの楽しみにしてください!(2020.4.1)

2019年のカタリココに登壇いただくのはこの方々です!

大変にお待たせいたしました!
2019年のカタリココのラインナップを発表いたします。今年も熱の入った内容ですので、ご期待ください。

よく、ゲストはどうやって決めるのですかと訊かれます。新年会のときにみんなでアイデアをもちって合議しますが、ほとんどの場合が縁をたどってその人に行き着きます。
たとえば今年11月に登壇いただく小説家の小山田浩子さんは、昨年古書ほうろうの滝口悠生さんのカタリココのときに、たまたま上京中でお越しくださり、打ち上げにも参加していただきました。小山田さんはいつかお呼びしたいとは思っていましたが、なにせ広島にお住まいですから、おいそれとはお願いできないな、と思っていたところ、その場でちらっとお話したら、ぜひ!と言ってくださり、めでたく実現いたしました。

9月の回にお迎えする諏訪敦さんも同様で、昨年、森岡書店で彼が展覧会をなさったときにはじめてお会いし、こっそりとこちらの気持ちを打ち明けたところ、快諾くださったのです。諏訪さんの絵画作品はもちろんのこと、『芸術新潮』の書評の連載も愛読しており、とても光栄に思っています。

鴻池朋子さんと志賀理江子さんは、「ことばのポトラック」に出演いただいたご縁です。
志賀さんは春に「ヒューマン・スプリング」を開催、鴻池さんは現在、瀬戸内芸術祭に参加中で、おふたりともその活動を常に注視している作家です。いまなにを考えていますか。そんな問いを折りに触れて投げ掛けてみたいおふたりなのです。
幕開けは6月2日の鴻池朋子さん。こちらはもう予約がはじまっていますので、ぜひご参加ください!

もうひとつ今年のニュースをお伝えいたします。
カタリココ出版部を立ち上げることになりました!
昨年の福田尚代さんの回がとてもおもしろく、対談を文字に起こして冊子を作ったところ、とても好評で気を良くしました。なにしろ編集作業が楽しいんです。
この冊子は福田さんの所属する小出由紀子事務所が出してくださいましたが、今後はカタリココが版元となって出版いたします。第1号は2015年にご出演いだただいた高野文子さんとのトークです。ぜひご期待ください。(大竹昭子)
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◎日時  6月2日(日) 17時00分開場/17時15分開演
予約開始 5月2日(木)12時よりメール予約
ゲスト  鴻池朋子(美術家)
定員   30名
会場   目白・ブックギャラリーポポタム
  〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-15-17
電話   03-5952-0114 
HP http://popotame.net


根源的暴力。2015年の展覧会タイトルだったこの言葉を目にしたとき、身の毛がよだつ思いがした。恐ろしいのに、魅力的で、すごく惹かれれしまうのが後ろめたい言葉だった。2009年のオペラシティ「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」で初めて展覧会を見て圧倒されていた私は、ちょうどこの頃に生活の一部が心の重荷になっていたことが理由で、足を運ぶことができなかった。見るのが怖かったのです。今はそれをとても後悔しています。(大林)

鴻池朋子(こうのいけ ともこ)プロフィール
1960年秋田生まれ。現代の神話を様々なメディアを用いてサイトスペシフィックに表現。芸術の問い直しを試みている。近年の個展では、2017年「根源的暴力」 群馬県立近代美術館   他巡回(芸術選奨文部科学大臣賞受賞)、2018年「Fur Story」リーズ美術大学(イギリス)、「ハンターギャザラー」秋田県立近代美術館。現在、瀬戸内国際芸術祭2019が開催中。著書に『どうぶつのことばー根源的暴力をこえて』『ハンターギャザラー』他(すべて羽鳥書店)。
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◎日時  7月13日(土)14時30分開場 15時00分開演
予約開始 6月13日(木)12時より電話・メール予約
03-3294-3300/natsume@natsume-books.com
ゲスト  志賀理江子(写真家)
定員   50名
会場  ボヘミアンズ・ギャラリー
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-25 神保町会館3F
HP http://natsume-books.com


志賀さんの写真をはじめて見たのは、いつだったろうか。 暗い画面から漂う尋常ではない雰囲気に胸がざわついたのを記憶している。当時は露悪的にとらえてしまっていた。しかし今ではさまざまな事象に真摯に全身で向かい合う彼女の姿勢に打たれてしまっている。志賀さんには語るべき言葉が沢山あり、私たちはそれらをよく聞き、自分で考えなければならないと思う。(神谷)


志賀理江子(しがりえこ)プロフィール
写真家。1980年、愛知県岡崎市生まれ。英Chelsea College of Art and Design 2004年卒業。2008年より宮城県に移住。11年東日本大震災の際、津波でアトリエを失うも精力的に制作を続ける。主な個展に12年 「螺旋海岸」展(せんだいメディアテーク)、17年「ブラインド・デート」展(猪熊弦 一郎現代美術館)、19年「ヒューマン・スプリング」(東京都写真美術館)がある。写真集に「Lilly」「CANARY」「カナリア門」「螺旋海岸」「ブラインドデート」。
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◎日時 9月21日(土) 19時開場/19時30分開演
予約開始 8月21日(水)13時より電話予約
ゲスト  諏訪敦(画家)
定員   30名
会場    銀座・森岡書店特設会場
   電話 03-3535-5020
FB  http://facebook.com/yoshiyuki.morioka.7
写真ついて独自の評論を行う大竹昭子さんが、諏訪敦さんの絵画をどのように「視る」かに関心があります。また、諏訪さんは『芸術新潮』にて書評の連載を担当し、大竹さんは朝日新聞書評委員の経験があるなど、お二人とも精力的に書評を書かれています。この時代に本を読む意義、或いは「視る」ことへの影響などもお聞きできたらと考えています。(森岡)


諏訪敦(すわあつし)プロフィール
1967年北海道に生まれる。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。同大学大学院修士課程修了。同大学教授。画家。1994年文化庁芸術家派遣在外研修員に推挙、2年間スペインに渡る。2014年絵画作品集『Blue』を青幻舎より刊行。
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◎日時  11月11日(月)19時開場 19時30分開演
予約開始 10月11日(金)13時より電話・メール予約
     03-3824-3388 / koshohoro@gmail.com
ゲスト  小山田浩子(小説家)
定員   30名
会場   古書ほうろう
     〒110-0008 台東区池之端2-1-45(東京大学池之端門前)
HP http://horo.bz


小山田さんの小説と出会ってまず感じたのは、こんなに読みやすいのになぜかページは進まない、ということでした。それはおそらく目に映るものが細部まで濃密に描かれ立ちのぼってくるためで、さらにはほぼ改行のない文字の壁のような版面とも相まって、つねに圧迫感のようなものが横たわっているせいでしょう。でも、それこそが小山田作品の魅力。異界へのお膳立てとしても効いていて、昨年出た短篇集『庭』では、そのような特徴がより際立って感じられました。写真家でもある大竹さんがこの特異な文体にどのように迫るのか、楽しみにしています。(宮地)


小山田浩子(おやまだひろこ)プロフィール
1983年広島県生れ。2010年「工場」で新潮新人賞を受賞してデビュー。2013年『工場』で織田作之助賞受賞。2014年「穴」で芥川賞受賞。他の著書に『庭』がある。広島東洋カープファン。

*参加費は各回共通1800円です。
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2019年のラインナップは4月下旬に公開いたします!

カタリココは今年で13年目に入ります。ようやく詳細が決まり、五十嵐哲夫さんにチラシのデザインをお願いしたところです。5月のゴールデンウィーク前には配布する予定ですし、webでも同時に詳細をお伝えいたします。どの回もすばらしいゲスト揃いですので、どうぞご期待ください!(2019.4.2)

2018年<カタリココ>のラインナップです!

◎日時 5月23日(水)19時開場 19時30分開演
予約開始 4月23日(月)13時より電話予約
ゲスト 福田尚代(美術と回文)
定員 35名
会場 ブックギャラリー・ポポタム

経堂の小さなカフェで見つけた冊子が最初にふれた福田さんの作品でした。頁びっしりの回文と呪文のような言葉に驚き、少し怖くもなりました。美術作家だと知り、機会があれば展示を見るように。消しゴムや原稿用紙の彫刻、刺繍された漫画の1ページ…おもしろくて仕方がなく、永遠に不思議な作品。そのなぞに、少しひかりがあたるのを見たいと思っています。(大林)

福田尚代(ふくだなおよ)
美術家。1967年埼玉県浦和市生まれ。東京藝術大学大学院油画専攻修了。佐倉市立美術館、国立新美術館、小出由紀子事務所、ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション、東京都現代美術館、うらわ美術館などで展示を行う。著書に『ひかり埃のきみ 美術と回文』(平凡社)、美術作品集に『福田尚代作品集 2001-2013 慈雨百合粒子』(小出由紀子事務所)、主な回文集に『福田尚代 初期回文集』(キャラバン書籍部)がある。



◎日時 7月20日(金) 19時開場/19時30分開演
予約開始 6月21日(木)13時より予約受付
ゲスト:滝口悠生(小説家)
定員 40名
会場 古書ほうろう

昨年の長嶋有さんの会の翌日『高架線』を読み、「来年は滝口さん!」と心に決めました。古い木賃アパートを舞台に歴代の住人たちの人生が浮かび上がる、というある意味共通の趣向ながら、小説的仕掛けが鮮烈な『三の隣は五号室』とは違い、どこに連れて行かれるのか見当のつかない、でも続きを読まずにはいられない(むしろずっと読んでいたい)その語り口に魅了されました。小さな町の集合体としての「東京」の描かれ方も見事で、大竹さんと語り合うテーマは無限にありそう。楽しみです!(宮地)

滝口悠生(たきぐち・ゆうしょう)
1982年東京都生まれ。2011年、「楽器」で新潮新人賞を受賞してデビュー。2015年、『愛と人生』で野間文芸新人賞、2016年、「死んでいない者」で芥川賞を受賞。他の著書に『寝相』『茄子の輝き』『高架線』などがある。西武ライオンズファン。



◎日時 9月29日(土) 14:30開場/15:00分開演
予約開始 8月29日(水)12時より電話予約
ゲスト 佐藤貢(美術家)
定員 40名
会場 ボヘミアンズ・ギャラリー
佐藤貢さんの作品に出会ったのは10年以上前、その作品と人物に魅せられ、ずっと活動を見守ってきました。道端に捨て去られた廃品や用済みになった物に美を見出し、命を吹き込み、ふたつとない作品に造り上げる「地を這う神」のような人。今回、その佐藤さんに名古屋からお越しいただき、作品をご紹介できるのが嬉しくてなりません。彼には『旅行記 前編・後編』(iTohen press)という素晴らしい著作がありますが、これを読んでファンになった方には、彼の神髄に触れられるまたとない機会となるでしょう!(大竹)

佐藤貢(さとうみつぐ)
美術家。1971年大阪生まれ。大阪芸術大学美術学科中退。1994年より中国よりアジア諸国、アメリカ、中南米諸国などを放浪。1998年に和歌山市移住し、漂流物を用いて創作をおこなうようになる。2005年からiTohen(大阪)、lim Art(東京)、森岡書店(東京)などで個展やグループ展を開催。インド体験をつづった『旅行記』上・下(iTohen)が大きな話題を呼んだ。





◎日時 11月27日(火)19時開場/19時30分開演
   
予約開始 10月30日(火)13時より電話予約
ゲスト 林典子(写真家)
定員 35名
会場
会場 森岡書店銀座店
 FB https://www.facebook.com/yoshiyuki.morioka.7
東京都中央区銀座1‐28‐15 鈴木ビル1階
  電話 03-3535-5020



林典子さんの前書『ヤズディの祈り』(赤々舎)の大竹さんによる次の書評を印象深く憶えています。「存在すら知られない民の苦難が記録された意味は大きい。だが、本書の価値はそこに留まらない。未知の対象を想像する力を鍛える」。林さんが北朝鮮を取材した今回の新作もやはり生活者としての個人の生きた視線に歩みよった写真と言葉で構成されています。林さんの写真と言葉により写し出された未知の北朝鮮に対して、大竹さんはどのような想像と問いを巡らせるのでしょうか。当日の両者の呼応が楽しみでなりません。(釜屋)


同時開催:
林典子写真集刊行記念写真展 11月27日(火)~12月2日(日)

林典子(はやし・のりこ)
写真家。1983年生まれ。大学時代に西アフリカガンビア共和国の新聞社で写真を撮り始める。以降、国内外の社会問題や一人一人の「記憶と生」を伝える活動を行う。ナショナル ジオグラフィック日本版、ワシントンポスト紙、デア・シュピーゲル誌、ニューズウィーク誌、ル・モンド紙などに寄稿。13年、フランス世界報道写真祭金賞受賞、17年 石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞など受賞。主な著書に、『フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳 ―いま、この世界の片隅で』(岩波新書)、写真集『ヤズディの祈り』(赤々舎)。

<カタリココ2017>のラインナップです。

ゲスト:内田美紗(俳人)+森山大道(写真家)

日時:4月27日(木)19時開場/19時30分開演
   4月18日(火)13時より電話予約/定員35名

会場:森岡書店銀座店
   東京都中央区銀座1‐28‐15 鈴木ビル1階
   03-3535-5020

「ミック・ジャガーの小さなおしり竜の玉」「秋の暮通天閣に跨がれて」「セーターにけもののにほひやがて雨」など、内田美紗さんの俳句は映像的で、ポップで、ダイナミックで、かつ気配が濃厚です。内田さんとは森山大道さんの取材でお会いしたのが始まりですが、4月に森山さんの写真と内田さんの句で句写真集『鉄砲百合の射程距離』(月曜社)を私の編纂により出版いたします。トークではその中の句をご紹介しつつ、破天荒ぶりの根っこを探ります。(大竹)

同時開催:『鉄砲百合の射程距離』刊行記念・森山大道写真展 4月25日(火)~5月7日(日)

内田美紗(うちだ・みさ)
1936年兵庫県西宮市生まれ。大阪在住。1983年頃、友人より借りた坪内稔典著『土曜の夜の短い文学』に触発され、俳句嫌いを返上して句作をはじめる。1985年に坪内稔典氏主宰の「船団の会」に入会、1994年から2002年まで「船団」の編集スタッフを務める。1987年「門」(鈴木鷹夫主宰)に入会。2000年、句集『誕生日』により門賞受賞。句集に『浦島草』『誕生日』『魚眼石』『内田美紗句集 現代俳句文庫58』。最新刊は森山大道との共著『鉄砲百合の射程距離』(月曜社)。

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ゲスト:名久井直子(ブックデザイナー)

日時:6月22日(木)19時開場/19時30分開演
   5月23日(火)13時より電話またはメール予約(当日清算)/定員35名

会場:ブックギャラリーポポタム
   東京都豊島区西池袋2‐15‐17
   03-5952-0114 / popotame@kiwi.ne.jp
   http://popotame.net/

あ、いい本だなあと奥付をみると名久井直子さんのお名前がある。そんなことが多くなりました。印象的だったのが絵本『まばたき』(穂村弘:作 酒井駒子:絵 岩崎書店)、長編ファンタジー児童文学『岸辺のヤービ』(梨木香歩:著 小沢さかえ:絵 福音館書店)。どちらも強い世界観の物語が、広く長く読まれるためにぴったりの姿になっていました。大竹さんの新刊『間取りと妄想』(亜紀書房)のブックデザインのこと、そして名久井さん自身が作者である月刊絵本「100」のお話も聞けるでしょうか。(大林)

名久井直子(なくい・なおこ)
1976年、岩手県盛岡市生まれ。ブックデザイナー。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。広告代理店勤務を経て2005年に独立。文芸作品を中心に、絵本・コミックスなど幅広く手がける。著書に写真絵本『100』(「ちいさなかがくのとも」井上佐由紀・写真 福音館書店)、工場見学の連載をまとめた『紙ものづくりの現場から』(グラフィック社)。

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ゲスト:長嶋有(小説家)

日時:9月29日(金)19時開場/19時30分開演
   8月29日(火)13時より予約受付/定員40名

会場:古書ほうろう
   東京都文京区千駄木3‐25‐5
   03-3824-3388 / horo@yanesen.net
   http://horo.bz/


とある木賃アパートの「変な間取り」の一室と、そこでの半世紀十三世帯の暮らしを描いた、長嶋有さんの『三の隣は五号室』。こんな切り口があったとは! という驚きとともに浮かび上がってくるのは、過去に自分が住んだ部屋の様々な細部と、もはや忘れていたような情景の数々。読後もじわじわと余韻が続き、大切な一冊となりました。『間取りと妄想』(亜紀書房)を上梓する大竹さんとの対談、とても楽しみです。(宮地)

長嶋有(ながしま・ゆう)
1972年生まれ。小説家。『サイドカーに犬』で文學界新人賞、『猛スピードで母は』で芥川賞、『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞。近作に『フキンシンちゃん』、句集『春のお辞儀』がある。最新作『三の隣は五号室』で昨年の谷崎潤一郎賞を受賞。狩撫麻礼ファン。

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ゲスト:奈良美智(画家)

日時:11月11日(土)15時半開場/16時開演
   10月11日(水)12時より予約受付/定員50名

会場:ボヘミアンズ・ギャラリー
   東京都千代田区神田神保町1‐25 神保町会館3F
   03-5577-6946 / natsume@natsume-books.com
   http://www.natsume-books.com/


大人なのか子どもなのか、性別すらもあいまいで、光が明滅する宇宙のような瞳でもって不思議な表情を浮かべている肖像。一見おだやかにみえるそのひとは怒りや悲しみを内在させている。それは「もはや自画像ではなく『自分にちょっと似ている』自立したもの」と表現する奈良さん。大竹さんとの間でどんな話が展開するのでしょうか。(神谷)

奈良美智(なら・よしとも)
画家・彫刻家。1959年青森県生まれ。1987年愛知県立芸術大学院終了後、渡独。国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに学ぶ。2000年帰国。世界的に評価されている作家であり、国内外で開催される展覧会のほか、書籍の表紙絵やCDジャケットなどを通じて、幅広い層に人気を持つ。不機嫌そうな表情の女の子の絵で知られる。


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「 芋のツルをたどるように 」 大竹昭子

どのようにしてゲストを決めるのですかとよく訊かれます。
出演していただきたい方はたくさんいらっしゃいますが、ご縁ができる機会を待つというのがカタリココのスタイルです。
今年のゲストの方々もそうでした。
内田美紗さんは森山大道さんを通して知り合いましたし、名久井直子さんは6月にでる私の短編集『間取りと妄想』の装丁をお願いしたご縁です。長嶋有さんは、昨年出された『三の隣は五号室』がマドリストの私にぴったりで来年は長嶋さんに! と思いましたし、奈良美智さんには一昨年のゲスト石川直樹さんがつないでくださいました。
こんなふうに縁をたどって巡り会った方とは、初対面でもはじめてという感じがしないし、話も弾むのです!
今年も4月から11月まで、ジャンルの異なる4つのカタリココをお楽しみください。


大竹昭子(おおたけ・あきこ)
文筆家。1980年代初頭にニューヨークに滞在、文章と写真をはじめる。小説、エッセイ、批評など、ジャンルを横断して執筆。小説に『図鑑少年』『随時見学可』『鼠京トーキョー』、写真関係の著書に『彼らが写真を手にした切実さを』『ニューヨーク1980』『出来事と写真』(共著)など。編著に『鉄砲百合の射程距離』(俳句・内田美紗 写真・森山大道)。2017年6月に短編集『間取りと妄想』を刊行予定。2007年にはじめた「カタリココ」は年4回おこなっている。また東日本大震災の直後に「ことばのポトラック」をスタート、毎年春に開催している。
http://katarikoko.blog40.fc2.com
http://kotobanopotoluck.blogspot.jp

2016年のカタリココのラインナップです。祝10周年!

◎6月2日(木)
ゲスト:荒木経惟(写真家) 
開催時間:18時30分開場 19時開演
予約開始:5月16日(月)12時よりメールか電話で予約受付(定員60名)
会場:ボヘミアンズ・ギルド近くの神保町ファインアーツ
東京都千代田区神田神保町1-7 日本文芸社ビル2F 03-5577-6946 / mail@jimbochofinearts.com

人を、人生を深い愛情を持って撮り続ける天才アラーキーこと荒木経惟さん。荒木さんは現在、トークはすべて断っているそう。大竹さんがどんなふうに口説いたのかわかりませんが、引き受けてくれたことにはそれなりの意味がありそうです。写真集「センチメンタルな旅」復刊に寄せて、荒木さんの写真観を出発点からたどります。 (神谷)

荒木経惟(あらきのぶよし)
写真家。1940年東京都生まれ。千葉大学卒業。電通に勤務後、独立。妻陽子に続き愛猫チロの死、自身の癌、そして右目失明を経てもなお 留まることなく精力的に活動を続ける。代表作に「さっちん」「センチメンタルな旅」など。デビューから現在まで発表した写真集は500冊近くにも及ぶ。パリのギメ東洋美術館で
大規模な写真展を開催中(2016年4月13日〜9月5日)

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*7月8日(金)開催予定のカタリココは、出演者の都合により中止とさせていただきます。
ご来場を予定していたお客さま、申し訳ございません。またの機会を楽しみにお待ちください。

なお保坂さんが文章を手がけた絵本『チャーちゃん』の画家、小沢さかえさんの作品と絵本原画展は、予定どおり開催します(7/1〜11)。

◎7月8日(金)(中止)
ゲスト:保坂和志(作家)
開催時間:19時開場 19時30分開演
予約開始:6月10日(金)13時より電話で予約受付(定員35名)
会場:ブックギャラリーポポタム
東京都豊島区西池袋2-15-17 tel.03-5952-0114

近ごろ飼い猫をなくして、自分で看取ることになっている子や弟妹のようなものだと肝に銘じました。動物との別れを描いた絵本は多いなか、鋭い光を放つ猫の絵本をつくったのは、小説家の保坂和志さんでした。苦しみから開放された自由な世界がひろがる『チャーちゃん』。スナネズミと暮らした大竹さんとどんなお話しになるのでしょうか。 (大林)

保坂和志(作家)
1956年山梨県生まれ、鎌倉育つ。早稲田大学政経学部卒業。西武コミュニティカレッジで講座企画を担当。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞を受賞。2015年に初の絵本『チャーちゃん』(福音館書店 小沢さかえ・絵)を発表。

同時開催:7月1日(金)〜11日(月) 小沢さかえ『チャーちゃん』原画&作品展

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◎10月6日(木)
ゲスト:武田花(写真家)
開催時間:19時開場 19時30分開演
予約開始:9月6日(火)13時より電話で予約受付(定員35名)
会場:森岡書店銀座店 
東京都中央区銀座1-28-15 鈴木ビル1階 tel.03-3535-5020

猫と街をテーマに多くの著作を出してきた写真家・武田花さんの久々のフォトエッセイ集は『猫光線』。うらぶれた風景が猫の存在で、やわらかなものに変わる。まさに、猫からなにやら光線が出ているように感じます。武田さんがトークショーに出るのは、とても稀なこと。これまで撮らなかったカラーの写真について、猫や街や旅について貴重な話をうかがえるでしょう。(森岡)


武田花(たけだはな)
写真家。1951年東京生まれ。90年『眠そうな町』で第15回木村伊兵衛賞を受賞。写真集に『猫・陽のあたる場所』、「シーサイドバウンド」他。フォトエッセイ集に『煙突やニワトリ』、『仏壇におはぎ』他多数。近年カラー写真を撮りはじめた。

同時開催:10月4日(火)〜9日(日) 武田花『猫光線』写真展

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◎11月16日(水)
ゲスト柴田元幸(翻訳家)
開催時間:19時開場 19時30分開演
予約開始:10月16日(日)13時よりメールか電話で予約受付(定員40名)
会場:古書ほうろう
東京都文京区千駄木3-25-5 tel.03-3824-3388 horo@yanesen.net

出会いの一冊となった『幽霊たち』。古本屋を始めた頃衝撃を受けた『舞踏会へ向かう三人の農夫』。そして記憶に新しい『遁走状態』。柴田さんのおかげで様々な現代アメリカ文学を知りましたが、近年は古典の新訳に文芸誌の編集もと、一ファンとしてうれしい悲鳴をあげています。大竹さんはそんな柴田さんにどう迫るのか、楽しみです。 (宮地)

柴田元幸(しばたもとゆき)
翻訳家。1954年東京生まれ。大田区六郷育ち。アメリカ文学研究者。翻訳家。東京大学特任教授。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、トマス・ピンチョン著『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞を受賞。現代アメリカ文学を精力的に翻訳するかたわら、著書も多数。文芸誌『MONKEY』編集人。趣味は入浴。

2015年<カタリココ vol.9>のラインナップを発表いたします!

9周年を迎えるカタリココ。今年も都内4カ所の古書店で6月から11月まで4回おこないます。
昨年末に恒例の忘年会をしながら企画を練りました! どの回もとても楽しみ。
ゲストの方々に寄せる各会場の期待の言葉を、どうぞご覧下さい。
入場料は各回1500円です。(2015.4.16)

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◎6月4日(木)
ゲスト:内藤礼(美術家)
開催時間:18:30開場 19:00開演
予約開始:5月4日(月)12時/定員数30人 natsume@natsume-books.com tel:03-3294-3300
会場:ボヘミアンズ・ギルド
千代田区神田神保町1-1 tel:03-3294-3300 

「ごくごく小さな文字で「おいで」と書かれた丸い紙。空にたなびくリボン。一粒の水滴の宇宙にいるような白い空間。部屋の片隅に儚げに佇む木の人がた。これらすべてを制作したのは『目の前にあるものを良いものだと考える』、見えないものが見えているような内藤さん。生の声・生の言葉をこの耳で聞くのが本当に楽しみです」(神谷)

内藤礼(ないとうれい)
美術家。1961年広島生まれ。1985年武蔵野美術大学卒業。「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作する。主要作品は1991年「地上にひとつの場所を」佐賀町エキジビットスペース、2001年「このことを」家プロジェクト・きんざ、直島、2010年「母型」豊島美術館などがある。

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◎7月16日(木)
ゲスト:髙橋秀実(ノンフィクション作家)
開催時間:19:00開場 19:30開演
予約開始:6月16日(火)/定員40名 horo@yanesen.net tel:03 3824 3388  
会場:古書ほうろう 東京都文京区千駄木3-25-5 tel:03 3824 3388

「ご先祖様からダイエットまで、髙橋秀実さんが取り上げる対象はさまざま。当然自分とは縁遠いものもあるのですが、読みはじめるとあら不思議、どんどん引きこまれてしまいます。そんな秀実さんの秘密に、大竹昭子さんはどう迫るのでしょう。初期から秀実さんの実力に注目していた関川夏央さんも、援軍に駆けつけてくださります!」(宮地)
 
髙橋 秀実(たかはし ひでみね)
ノンフィクション作家。1961年横浜市生れ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞を受賞。主な著書に『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』『からくり民主主義』『やせれば美人』『おすもうさん』『男は邪魔!』など。超愛妻家。

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◎9月30日(水)
ゲスト:石川直樹(写真家)
開催時間:19:00開場 19:30開演
予約開始:8月31日(月)/定員40名 info@moriokashoten.com tel:03-3353-5020
会場:東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル地下
(1階は森岡書店銀座店です)

「『POLE TO POLE』を出版し、活動を始めたばかりの石川さんにインタビューを試みた大竹さん。その後の石川さんは、活動の範囲を拡大し、豊かな成果を生み出してきました。それから10年以上経たいま、再会するお二人は、一体どんな言葉を交わすのでしょうか。石川さんの今後の展開とあわせて期待が高まります」(森岡)

石川直樹(いしかわなおき)
写真家。1977年東京生まれ。2000年に北極から南極まで人力で踏破するPole to Poleプロジェクトに参加。翌2001年には、七大陸最高峰登頂に成功。その関心の対象は、人類学、民俗学など、幅広い領域に及ぶ。『CORONA』(青土社)にて土門拳賞、『最後の冒険家』(集英社)で開高健ノンフィクション賞を受賞。

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◎11月12日(木)
ゲスト:高野文子(漫画家)
開催時間:19:00開場 19:30開演
予約開始:オンライン予約 (クレジット払)10月12日(月)0時 詳細はHPへ。
     電話予約(当日清算)10月12日(月)12時  tel:03-5952-0114/定員35名
会場:ブックギャラリーポポタム 東京都豊島区西池袋2-15-17 tel:03-5952-0114

「10代の終わりに『絶対安全剃刀』と出会い、これまで自分が手にした漫画とぜんぜん違っていてびっくりしました。掲載誌の読者像とかけはなれた主人公「るきさん」にも、科学を描いた「ドミトリーともきんす」にも。今回ギャラリーで絵本やイラストの原画も展示します(~11/17まで)。楽しみにしてください」(大林)

高野文子(たかのふみこ)
漫画家。1957年新潟県生まれ。1979年『絶対安全剃刀』でデビュー。2003年『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』で第7回手塚治虫文化賞・マンガ大賞受賞。2015年秋に挿絵を手がけた本が刊行予定。

*2014年のカタリココは終了いたしました。2015年は6月よりはじまります。どうぞご期待ください。


                    2014年<カタリココ>

◎5月28日(水)
ゲスト:寄藤文平
開催時間:開場 18時半 開演時間 19時
予約開始:4月28日(水)12時/定員数 30人
会場:ボヘミアンズ・ギルド 03-3294-3300 natsume@natsume-books.com

「たまたま書店でみかけた本。色鉛筆一本で書かれたシンプルな表紙には『絵と言葉の一研究』とありました。古風で謙虚なタイトルにポップなイラスト、友達が書いた哲学書のような気安い佇まいで、ぐぐっと惹かれたのを覚えています。その著者がまさかの超売れっ子デザイナー、駅でよく見るポスターの人だと知ったのはその後です。すみません。そんなタイミングに勝手にご縁を感じています。絶妙な距離感で時代に寄り添う寄藤さんと、寄藤さんを今回のゲストに「熱望」なさった大竹さん。当日までには、寄藤さんのデザインによる大竹さんの編著書『この写真がすごい』第2弾が店頭に並んでいるはずです。写真好きのおふたりのあいだでどんな対話が交わされるでしょう。乞うご期待!」(SK)

寄藤文平(よりふじぶんぺい)
1973年長野県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科中退。アートディレクター、グラフィックデザイナー。代表作に『R25』表紙イラスト、JT「大人たばこ養成講座」、東京メトロCM・マナーポスター、「白黒つけないカフェオーレ」などがある。東京ADC賞、日本タイポグラフィ年鑑大賞受賞をはじめ、講談社出版文化賞ブックデザイン賞、造本装幀コンクール、出版文化産業振興財団賞など受賞多数。主な著作に『ウンココロ手帖』『死にカタログ』『ラクガキ・マスター 』『絵と言葉の一研究 』がある。2000年に有限会社文平銀座を設立し 企業ロゴ、広告、ブックデザイン、アニメ制作、自著の企画・出版など幅広い活動をしている

 
◎7月17日(木)
ゲスト:マイク・モラスキー
開催時間:開場 18時30分 開演時間 19時
予約開始:6月17日(火)13時/定員数 50人
会場:古書ほうろう 03-3824-3388 horo@yanesen.net

「日本中のジャズ喫茶を訪ね歩き、東京中の居酒屋をハシゴして回るモラスキーさん。町の歴史を繙き、店に集う人びとを取材、考察するなかで浮かび上がってくるのは「場」の力で、古本屋としても多くの発見と共感がありました。やはり「場」の力を信じ、町歩きをこよなく愛する大竹さんとの対話、とても楽しみです。」(KM)

マイク・モラスキー
1956年米国セントルイス市生まれ。シカゴ大学にて博士号を取得(日本本土と沖縄の文学作品に見られるアメリカ占領がテーマ)。ミネソタ大学、一橋大学教授を歴任後、現在は早稲田大学国際学術院教授。日本語の著書に『戦後日本のジャズ文化』(青土社/サントリー学芸賞)、『ジャズ喫茶論』『呑めば、都』(ともに筑摩書房)、『ひとり歩き』(幻戯書房)、『日本の居酒屋文化』(光文社新書)』などがある。延べ20年に及ぶ日本滞在で最初に住んだ町は葛飾区お花茶屋。近年は「赤提灯国粋主義者」としても名を馳せている。


◎10月4日(土)
ゲスト:森岡督行
開催時間:開場 18時半 開演時間 19時
予約開始 9月4日(月)13時/定員数 40人
会場:森岡書店の近所の貸会議室 03-3249-3456 info@moriokashoten.com
詳細はご予約時にお伝えいたします。

「2007年にRainy Day Bookstore & Cafeではじまったカタリココは、翌年、古書店に会場を移してつづけられてきましたが、今回のゲストはその当初から参加している最古参の森岡書店の森岡督行さんです。森岡さんは店を経営するかたわら、文筆家としても活躍され、数々の著書を出されています。最新刊『荒野の古本屋』では、本が好きで社会に背をむけがちだった青年が、若き日に溜め込んだ本の蓄積をまず書店のかたちで表現し、つぎに著作を書いて世に問うていく過程がつづられています。そこで今回は、森岡督行という人間とその表現がいかに形成されてきたかを、出来ることなら子どものころからの写真などを上映しつつ展開したいと思います。7年目にして店主自らがゲストとなる特番に、ぜひご期待ください!」(AO)

森岡督行(もりおか よしゆき)
1974年山形県生まれ。東京・茅場町にて森岡書店を経営。著書に『写真集』(平凡社)、『Books on Japan 1931-1972』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『荒野の古本屋』(晶文社)がある。現在、『芸術新潮』にて「作家が覗いたレンズ」、新潮社HPにて「森岡書店日記」、ビー・エヌ・エヌ新社HPにて「Books on Japan beyond the space beyond the time」を連載している。


◎11月27日(木)
ゲスト:藤野可織
開催時間:開場 18時半 開演時間 19時
予約開始 10月27日(月)12時/定員数 35人
会場:ブックギャラリーポポタム 03-5952-0114 popotame@kiwi.ne.jp

「最初から最後まで安心できない。文章やストーリーの魅力に引きずられ読みふけっていると、平然とした顔をして、私の想像を超えるむごいことやグロテスクなものが、一滴二滴と盛られ、気がつくと毒にやられている。すごくおもしろい、けど安易に人にはすすめられない。私はいま中毒になっています。」(EO)

藤野可織(ふじの かおり)
1980年京都生まれ、作家。2006年文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年「爪と目」で第149回芥川賞受賞。著書に『いやしい鳥』(文藝春秋)、『パトロネ』(集英社/集英社文庫)、『爪と目』(集英社)、『おはなしして子ちゃん』(講談社)、『ファイナルガール』(扶桑社)がある。

*入場料は全回均一1500円