大竹昭子のカタリココ

朗読イベント〈カタリココ〉&トークイベントのお知らせと「日々雑記」

おしらせ&雑記

8月の迷走写真館はこの写真です!

a4ed5944-s.jpg腕を組んで、道いっぱいに広がりながら進む、フランス式デモ。
女性が結構まじっていて、さまざま年齢の人がいて、歩き方がだらだらしてなくて意識的です。歩くことの力強さが、そのまま抗議の気持ちになって現れでているような、実に印象的な写真。→ギャラリーときの忘れもの(2017.8.3)

「エッセイと小説のあいだ」というテーマで、代官山ヒルサイドライブラリーでトークします。

エッセイは実際にあったことを書いたものだけど、小説は虚構が混じっている、と思っている方は意外に多いのではないでしょうか。でも、考えてみると、エッセイに虚構が入ることはよくあるし、その逆に、実際に体験したことを小説に書くことも少なくなく、虚構か、現実かで両者を線引きすることは困難。
それに、体験を書くにしても、実際に起きたことをトリミングして表現するわけで、軸足がどこにあるにせよ、虚構化の作業なくしては作品は完成をみないわけです。

私はつねに、本当みたいと思えるような噓、噓みたいに思える本当に惹かれてきました。現実と虚構のあわいや、揺らぎのなかに見え隠れする人間の意識の奥深さに、魅了されるのです。写真が好きなのも、現実にむかってシャッターを押しながら、写されたものは現実そのものではないからで、そういう感覚は文章の書き方、読み方にも現れでるようです。

昨年、同じ会場で須賀敦子さんについてトークしましたが、須賀さんも現実の虚構化について真剣に考えた方でした。そこで、今年、ライブラリーの蔵書におさめる10冊を私がセレクトしトークする、というご依頼をいただきたとき、「エッセイと小説のあいだ」というテーマをもうけて、10作家の10作品を選ぶことにしたのです。

エッセイには身辺雑記というイメージがつきまといますが、わたしが理想とするエッセーとは、身近な話題が飛躍を重ね、最後にとんでもない場所に着地するというものです。どんな作品が選ばれたかは当日のお楽しみとして、取り上げる作家名はヒルサイドライブラリーのWebサイトでご覧いただけます。

日時:2017.7.25(火)19:00〜20:30
会場:ヒルサイドライブラリー(ヒルサイドアネックスB棟3F)
会費:一般2000円、ヒルサイド会員・学生 1000円
予約:電話03-5489-1267 e-mail info@clubhillside.jp
http://hillsideterrace.com/events/1183/

7月23日、大阪で津村記久子さんと間取りトークをします!

DDslverUIAAYddQ_convert_20170702120527.jpg津村記久子さんはマドリスト? というのも、彼女の小説からはまぎれもなく空間が浮かんできます。川端賞を受賞した「給水塔と亀」(『浮遊霊ブラジル』収録)なんて、頭のなかで映画が一本撮れてしまうほど、細部がくっきりしています。空間がお好きなことは、まちがいないです。
津村さんは、カタリココにお呼びしたくとも、大阪在住でらっしゃるので、なかなか叶いませんでしたが、このたび大阪でトークが実現してうれしいです。関西のみなさま、ぜひどうぞ!

日 程 : 2017年7月23日(日)
時 間 : 開始 / 14:00~(開場 / 13:30~)
入場料 : 1000円
場 所 : アウラの部屋 心斎橋アセンス3階
出 演 : 大竹昭子 × 津村記久子

申し込みは→心斎橋アセンス

『遠野物語』の世界に直結!名久井直子さんとのカタリココ、6.22@ポポタム

IMG_4801.jpeg名久井直子さんの装幀の印象として、だれもが挙げるのは「愛らしさ」「かわいらしさ」ではないかと思いますが、名久井さんのなかには、それとは異なる力が潜んでいるような気がし、期待を込めて『間取りと妄想』の装幀をお願いしたところ、本をご覧になってのとおり、青焼き写真を応用した実に斬新なものが出来あがりました。きっとジャケ買いした方もいたのではないでしょうか。
岩手の旧家の、鴨居に祖先の写真がずらりと並んでいる部屋で、家にある唯一の書物である電話帳と冠婚葬祭のしきたりの本を遊び道具に、保育園にも幼稚園にも行かず、ときにNHKテレビを見ながら、寝たきりのおばあさんと過ごす、というかなり特異な育ち方をしたそうです。幼稚園に行かなかったのは、面接のとき、まわりの子供たちが粗暴なのに驚き、「行きたくないです」と母親に耳打ちすると、「なら、行かなくていいです」と言われたからで、このときのお母さんの英断がすごい!と思いました。本来もっているものが、鋳型にはめられることなく、自由に伸びていったことが、その後にかなり影響したはずです。
高校では理数系に進み、将来は数学者になろうと思ったほど、論理的な思考に惹かれた、というのも、納得でした。本をデザインするには、本の形やイメージだけではなく、紙などの資材や印刷方法や価格などを、総合的に考え、判断を下す必要があります。それができてはじめてさまざまなバリエーションに対処できるわけで、名久井さんの現在の仕事の広がりには、その数学的論理性が大きく作用しているのを感じますし、しかも読書家で内容への理解も深いとなれば、無敵です!
「設計」は英語だと「デザイン」ですが、あたかも、建物を設計するように、本の要素を組み立ててひとつの「建物」にするおもしろさ。名久井さんをここまで引っぱってきたのは、それなのでしょう。彼女以前にも女性のブックデザイナーはいましたが、このように総合的に本の造りを考えて、設計しはじめたのは名久井さんの世代からで、プロ意識のレベルが徹底しています。
IMG_4806.jpeg←(会場のポポタムにて)
子供のときに寝ていた部屋に先祖の肖像画があったことは書きましたが、その最初期の人はちょんまげをゆっていて、写真ではなく、絵だった、という話に惹かれました。写真のなかの人は視線が決まっているけれど、絵のなかの人はそうではなくて、自分が部屋のどこにいてもその視線で見つめられ、怖かった、と。
写真が一般化する以前に、ホンモノそっくりのモノクロの絵を遺影として飾ることがよくあり、岩手はとくにそれが盛んで、わたしも遠野の寺に奉納されてあるのを見たことがあります。話をうかがっていて、『遠野物語』の世界が名久井さんの世界と一気につながったような、不思議な気持ちになりました!(2017.6.30)
 

たけなみゆうこさんのイラスト『間取りと妄想』展は6月20日からです!

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card2_convert_20170614175636.jpg短編集『間取りと妄想』を完成するのに欠かせなかったのは、たけなみゆうこさんの尽力です。たけなみさんとお仕事したのは、雑誌の連載にイラストをお願いしたのがはじまりでした。「かわいい」「ほっこりした」と形容されるイラストが苦手なわたしは、頓知の利いたどこかシュールな趣のあるたけなみさんのイラストに共感を覚えました。

『間取りと妄想』の企画がもちあがったときも、ですから、すぐにたけなみさんを思い浮かべたのです。間取りの原案は私が描きますが、それを見映えのするイラストに仕上げるにはプロの手を借りならず、建築家のバックグラウンドをもつ彼女ほど、その役にふさわしい人はいないと思えたのでした。

実際、お願いして大正解でした。この長さの階段では二階まで上がれませんとか、小屋ふうならシャワー室で充分では?とか、専門家ならではの提案していただき、ただの妄想を超えて「ちゃんと建つ家」を登場させることができました。

今回のたけなみさんの初個展では、『間取りと妄想』のなかの一軒を模型にして見せるほか、内・外や陰・陽から着想した、ちょっと時空のゆがんだような奇妙なイラストがたくさん展示されます。あるようでないような世界に、脳の片隅が刺激されてチリチリするような感覚が味わえることでしょう!

20日のオープニングでは、『間取りと妄想』のなかの一編をわたしが朗読します。6時半くらいからで、予約不要ですので、どうぞお気軽にお越しください。(2017.6.15)

2017年6月20日(火)〜25日(日)13:00〜20:00
森岡書店銀座店 中央区銀座1-28-15 鈴木ビル1階 電話03-3535-5020
詳細はこちら→http://kotomomo.com/yuko/?p=299

6月の迷走写真館はこの写真です!


3389b666-s.jpg写真を見てまず目に飛び込んできたのは、腰の曲がった老人、つぎにその人影の上にあるマークという順番でした。白昼のガソリンスタンドのまぶしいほどの明るさに、時代が出ています。決定的瞬間ふうの写真ではないですが、まさにこの一瞬が感じられてなりません。ギャラリーときの忘れもの

つぎのカタリココのゲストは名久井直子さんです!

『間取りと妄想』の装幀をしてくださった名久井直子さんに登壇いただきます。名久井さんのお仕事は幅が広いものの、こうした建築寄りの装幀は見たことがないように思い、お願いしました。未知のものに挑戦していただくと、その人の本当の力に触れられるのでスリリングですが、その予想を裏切らない見事な出来映えでした。青焼き図面の記憶がたちあがってくるようなジャケット、巻かれた帯にもため息がでます。
こんなにいい仕事をしていただくと、トークへの期待は高まります!残席は5席くらいだそうですので、ご興味のある方はお急ぎください。

◎6月22日(木)19時開場、19時半開演
 会場:ブックギャラリーポポタム(目白)
 料金:1500円
 予約はポポタム

短編集『間取りと妄想』が書店に並びはじめました!

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間取り図をつくり、そこから13の短篇を妄想する、とまさに『間取りと妄想』というタイトルのどおりの短編集です。
 ちいさいときから間取りを見たり、描いたり、街を歩きながら人の家のなかを想像したり、知り合いの住まいを見せてもらったりするのが大好きで、だから子供のときの夢は「建築家!」でしたが、算数ができないとダメだとわかってあえなく断念しました。その無念な思いを晴らしたいという気持ちがどこかにあったのか、間取りの物語はいつか書いてみたいと思っていたテーマのひとつでした。

「マドリスト」なんて言葉もあるくらい、世間に間取り好きは多く、しかも彼らの楽しみは間取りからいろんなことを妄想することであるのは、「間取り」と「妄想」と入れてインターネットで検索すると驚くほどたくさんヒットすることからもわかります。

もしかしてこれは日本的な傾向かもしれない、と最近ふと思い当たりました。
日本の狭い住環境のもとでは、思いもしない奇想天外な間取りが生まれ、またそのなかでの暮らしぶりも外観からは想像がつかないことが多いです。
同じことは、わたしたちの行動にもいえ、内と外という概念に規定されて、人の外側にあらわれる表情や態度などが、心のなかで感じ思っていることとちぐはぐになるということがよく起きます。つまり、間取りは人間の内面、人体の内側、意識世界、見えない領域などのアレゴリーでもあるわけで、そんなことがマドリストが多いことと関係があるのかもしれません。

間取りが示唆するそうした要素を、あたまのなかでころがしながらつむいだ13の物語。
付録に間取り図リストをつけたので、読みながら参照すると間取りをイメージしやすいですし、またこれを手がかりに妄想力を全開にしてそれぞれの物語に浸ってみるのもいいでしょう。
装幀は名久井直子さん、イラストはたけなみゆうこさん。青焼きのような表紙が内容とぴったりマッチし、うっとり見入ってしまうようなすばらしい仕上がりです!(2017.5.31)

5月26日に荻窪Titleでトークをします!

俳句と写真は似ている、と言われるけれど、また「俳句写真集」なるものもたくさん出ているけれど、なんかピリッとしないんです。夕暮れの句に夕暮れの写真とか、桜の句に桜の写真とか! 

5月26日に荻窪Titleにて、「写真とことばの編集術」をおこないます。どうやって『鉄砲百合の射程距離』をつくったか、編集段階で落としたものもお見せしたりしたり、他の写真に句をあてはめたりして、両者にふさわしい距離を見つけ出します。

さらには、ほかの写真家(例えばアラーキー)と美紗さんの句を合わせてみるとか!
大道さんの写真に、芭蕉の句を合わせるとか!
なんてこともしてみたいと思います。

写真とことばの関係は、アタマで考えるよりも、具体的な例を前に考えたほうがずっとおもしろいし、経験値も上がる、といは自著のなかに写真を入れたり(『図鑑少年』)、一枚の写真をことばにしてみたり(『この写真がすごい』)、写真とことばの関係について試行錯誤をつづけてきたわたしの実感です。

写真集のタイトルに悩んでいるひと、俳句に写真をつけたいと思っているひと、エッセイと写真をいっしょにした本をつくりたいひと、写真集にキャプションとはちがう文章を入れたいと思っているひと。どうぞご参加ください!→Title